参議院選挙に対する自交総連の態度ととりくみ
  自公保政権の悪政ストップ、
タクシー、自教、観光バスの危機を打開し、
自交労働者の要求を実現する政治への転換を
2001年5月9日
自交総連第2回中央闘争委員会

 はじめに
 21世紀最初の参議院選挙が7月12日公示、29日投票の日程で行われます。
 いま自交労働者のくらしと労働は、かつてない危機的な状態に陥っています。出口の見えない不況により、自交関連事業の需要が全体的に落ち込み続けていることに加え、タクシーでは、来年2月から「改正」道路運送法が施行されるのを前に、生き残りをかけた激しい企業間競争が展開され、自教、観光バスでも18歳人口の減少、規制緩和などでリストラ「合理化」と企業再編の大波が押し寄せています。廃業・企業閉鎖や譲渡もひん発、極端に低い労働条件を押しつけることで利益をあげる悪質企業が勢力を伸ばしています。
 生活保護基準や最低賃金をも下回るような低賃金が横行し、労基法はじめ労働者として当然の権利さえ奪われる事態もひん発しています。
 これら自交労働者の苦しみの根源にあるのが、この国の政治です。
 現状にあきらめることなく、一人ひとりの労働者・国民が行動すれば、必ず政治は変わります。
 労働者・国民の願いにそむく政治を、願いがかなう政治に転換させるため、私たちがもっている力、一票を行使しましょう。

1.小泉政権になっても自民党政治の本質は変わらない
 4月26日、小泉政権が誕生しました。同氏が自民党内の主流派からの首相ではないことや独特のパフォーマンスなどから、マスコミは小泉内閣が従来の自民党政治の枠を壊すものであるかのような報道を大々的に行い、同内閣の支持率も高くなっています。
 しかし、小泉内閣の構成は従来の自民・公明・保守3党の悪政連合となんら変わらず、政策もまた大企業中心の経済政策を変更するものではありません。とくに同首相は、持論の郵政民営化にみられるように、民営化、規制緩和を強く進めるという立場から、これまで歴代内閣の尻をたたく役割を果たしてきました。このままでは、タクシーも含め、いっそうの規制緩和、完全「自由化」へと進みかねません。
 さらに、憲法「改正」に積極的に踏み込むことを公言するなど、人気に便乗して政治を一気に右傾化させる危険性ももっています。
 一時的なパフォーマンスに惑わされることなく、その本質をしっかり見極めて、自交労働者にとって、どんな政治を選択することが自分たちの利益にかなうのかを考えて行動することが求められています。

2.自交労働者にとっての参議院選挙の争点
 自交総連は、すべての自交労働者、利用者・国民とともに今回の参議院選挙では、以下の点を重視してたたかいます。

(1) タクシーの安心・安全破壊を許さない政治の実現を

 自公保政権は昨年、タクシー破壊法ともいうべきの道路運送法「改正」法を数を頼んで強行成立させました。
 この悪法に賛成したのは自民、公明、保守、民主、自由の各党でした。
反対したのは日本共産党と社民党でした。とりわけ自交総連の署名の提出や現地調査、国会質問で直接私たちの意見を取り上げ奮闘してくれたのは、日本共産党でした。
 来年2月の法律の施行を前にして、タクシーの供給過剰による破滅的な競争の激化というその矛盾はいっそう深刻化し、国民だれもが、安全と安心という点でタクシー規制緩和の危険性を実感するようになりつつあります。
 そうした声を政治が真剣に受け止めるためには、タクシー規制緩和を推進してきた勢力には、政権の座から降りてもらうほかありません。
 また、政治を変えれば、今後の運用基準の策定における悪質企業排除やリース制・累進歩合制賃金の禁止措置、最低労働条件の確保などの実現とともに、自交総連が提起しているタクシー運転免許にも道がひらかれます。
 どの党がタクシー破壊法に賛成し、どの党が反対を貫いたのかを思い起こし、自公保政権に代わる新しい政治の枠組みをつくるために奮闘しなければなりません。

(2) 自交労働者の政策要求を実現する政治へ

 タクシーに限らず自動車教習所、観光バス労働者も含めて自交労働者の仕事は、政治・行政のあり方と密接に関わっています。
 タクシー、観光バスは国土交通行政、自動車教習所は警察行政、共通する厚生労働行政のあり方によって、労働条件や労働者の権利が大きく左右されます。
 自動車教習所では、少子化を理由に将来不安をあおり、「合理化」を押しつけ、不安定雇用労働者を増やし、ダンピング競争が激しくなっています。
 観光バスでは、規制緩和で際限のないダンピング競争がおこり、長時間かつ変則勤務から健康破壊や交通事故が続発しています。
 経営者がこうした勝手なことを行えるのは、本来は労働者・国民の立場で大企業や資本家を規制すべき行政が、その役割を放棄して、逆に規制緩和や労働基準の緩和などで大企業を後押ししているからです。
 長年つづいてきた自民党政治のもとで、政・財・官が癒着し、こうした反労働者的な行政が行われてきました。
 安全で利用しやすいタクシー・観光バスの実現、自動車教習所を交通安全の生涯教育に活用することなど、自交総連が掲げてきた政策を実現するためにも、政・財・官の癒着を打破し、いまの政府をつくり変えなければなりません。

(3) すべての国民の将来にかかわる国政の転換を

 1) 働くルールの確立、すべての労働者の底上げ、雇用の拡大を

 人減らし・リストラ「合理化」など、労働者・国民犠牲の大企業の横暴を許さず、日本の「ルールなき資本主義」に対する民主的規制と働く者の雇用と権利を守るルールの確立は今日、緊急の課題となっています。
 大企業の横暴への民主的規制と社会的ルールを確立する国政の転換を強く求めます。
 とくに、パート労働者の待遇改善、雇用不安の解消、ただ働き、サービス残業の一掃、解雇規制・労働者保護法の制定などの要求を実現する政治を求めます。

 2) 消費税を3%に、個人消費を暖め不況打開を

 先の見えない不況がつづいていますが、自公保政権は、大企業・財界の利益を保障する公共事業への税金投入という、すでに破綻した路線に依然としてしがみついています。
 この不況を打開し、日本経済を立て直すためには、消費税を3%に戻し、年金・医療・社会保障の改悪を凍結し、個人消費を暖めることが欠かせません。
 666兆円にも及ぶ財政赤字を打開するためにも、公共事業への税金たれ流しを改めることが必要です。

 3) 憲法改悪阻止、政治腐敗をただし、平和と人権を守ろう

 20世紀末に自公保政権は、戦争法の強行、盗聴法、日の丸・君が代の国旗国歌化、憲法調査会設置などアメリカの世界戦略に従属する「戦争体制」づくりの悪法を強行してきました。いままた、小泉首相は「首相公選制」を突破口に、9条を含む憲法改悪を公言しています。
平和勢力を結集し、憲法改悪を許さない国会構成をかちとることは、今度の参議院選挙の重要な課題です。
 KSD・機密費疑惑の徹底解明、基地のない日本を、戦争法発動阻止などの要求を掲げて奮闘しましょう。

3.自交総連の参議院選挙のとりくみ
 自交総連は、自公保政権の悪政を打破し、国政革新の展望を切り開くことをめざし、参議院選挙ではつぎのようなとりくみを行います。
 (1) タクシー破壊法を強行した自公保政権の反労働者・反国民的政策を暴露するとりくみを強めるとともに、自交労働者の生活と権利、平和と民主主義を守ってたたかう政党との協力・共同の関係をもちます。

 (2) 特定政党・特定候補の推薦はせず、組合員の政党支持、政治活動の自由を保障します。資本や警察からの妨害、弾圧に対しては、労働組合の立場から政治活動の自由を保障する見地でたたかいます。

 (3) タクシー破壊法に対する態度、自交総連の政策要求、国民的課題の実現との関連で、各政党の政策・実績・行動を明らかにし、組合員・自交労働者の政党選択の判断資料を積極的に提供していきます。

 (4) 参議院選挙闘争の意義の徹底をはかり、組合員・自交労働者の政治意識をたかめるための宣伝、学習を強化します。
 とくに、自交労働者の労働条件改善、政策要求実現の闘いが国政革新の課題と密接につながっていることを、広範な労働者に宣伝していきます。

 (5) 各地連・地本、各単組・支部は、総連本部の参議院選挙闘争方針をふまえ、とくに、職場で政治論議がまき起こり、だれもが参議院選挙に関心を持ち、投票権を行使できるように、活発なとりくみを行います。

 (6) 参議院選挙の前哨戦として、また首都東京の政治戦として全国的にも大きな影響を与える東京都議選についても、この参議院選挙闘争方針で示した方向に準じて東京地連がたたかえるよう全国的に必要な支援・協力にとりくみます。
以  上



自 交 総 連