2009年秋から2010年春闘にむけた闘争方針

 09秋闘は、総選挙で政治の変革を求める声が自公政権に終止符を打ち、新政権が誕生するという政治情勢のもと、減車の実施などタクシー事業の再生にかかわる「タクシー事業活性化特別措置法」が施行される中でたたかわれる。とくに、景気回復の道すじを見いだせないでいる深刻な経済不況の影響は、自交労働者の命とくらしを脅かし、事業そのものの将来展望をも大きく左右する重要な局面となっている。

 民主党は総選挙の公約で、製造業への労働者派遣の原則禁止や最低賃金の引上げ、最低保障年金制度実現、後期高齢者医療制度の廃止などを提起している。こうした公約状況をふまえ、労働者の要求実現につながる政策については、その実行を求め、現実に政治を動かすとりくみを強める必要がある。

 09年秋から2010年春闘にむけた闘いでは、産業別労働組合に結集する優位性を活かし、自交労働者の底力を発揮しなければならない。その基調は、09年度運動方針(案)で提起した要求課題への具体化をはかることであり、(1)将来展望を見据えた政策要求実現、(2)権利擁護と重点要求獲得、(3)格差・貧困の克服と平和な世界の実現、(4)組織強化拡大の課題、を柱として運動を展開する。

1.減車の実現、政策要求闘争の前進で将来展望を

 (1) 「タクシー事業活性化特別措置法」施行にあたり、地域的な協調減車の枠組みの実効性確保を重点にとりくむ。特定地域ごとに行われる協議会では各地連(本)がイニシアチブを発揮し、減車や不当な低額運賃の是正などをはかり、労働組合の存在感を示す。また、協議会が実質的に機能する前段に運輸局(支局)に講師を要請し、各地連(本)で関連した政省令・通達も含めた学習会を行う。

 (2) 地方自治体へは、事業者団体・他労組との連携もはかりつつタクシーを担当する部署を設置させることや、タクシーを地域公共交通機関と明確に位置付けさせるとりくみを行い、地域の交通政策の中で地域貢献できる環境を整える。

 (3) タクシー事業の発展は、良質な労働力の確保がなされない限り望めるものではない。その担保となるのはタクシー需要に見合った適正車両数と同一地域同一運賃である。これら、事業者団体や職場内組織などとの共通する政策課題では、協力・共同し、その実現をめざす。

 (4) 依然として自交労働者が犠牲となる犯罪が発生している状況をふまえ、安心して働ける労働環境として防犯対策の強化を追求する。

 (5) 過酷な労働実態が健康に被害を及ぼす危険性が高まっている状況をふまえ、6か月ごとの健康診断が義務付けられている夜勤労働者の健康診断時の検診項目を検討し、早期発見・治療が欠かせないガン検診など、必要とする検診項目の拡充を求め健康対策を強める。

 (6) 経済不況から運送収入は異常なほど激減している。こうした状況を反映して事業者のモラル欠如や運転者の資質低下から、事業そのものの存続が危ぶまれる状況も生まれている。事業者に対しては“企業の社会的責任”を追及するとともに、そのチェック機能の役割を果たす。

 運転者登録制度の実施地域では、登録時に違法となるアルバイトや社会保険未加入などをチェックする機能を持たせる。また、運転者の資質の向上となる国家資格制度として、タクシー運転免許法制化への接近をはかる。

2.権利擁護の構えを前面に、職場要求の実現を

 (1) 各地連(本)、単組・支部は、秋闘での重点要求を設定し、実利・実益の獲得をめざす。要求設定では組合民主主義を徹底し、不安定雇用労働者や未組織労働者も含めた広い視野に立ち、組合員との対話の中で出された要求をまとめ、必ず会社に提出する。要求提出は10月30日まで、回答指定日を11月10日までとし、11月中決着をめざす。

 (2) 地域での賃金底上げを重視し、最低賃金法違反の地域的一掃、累進歩合制度の廃止、名義貸し行為の禁止、長時間労働の是正、割増賃金の適正かつ確実な支払いなどにむけ、11月までに労働局・運輸局(支局)交渉を行う。

 行政処分基準等の改正で最低賃金法違反や社会保険等未加入に対する処分基準の追加等が行われたことをふまえ、その改善への事業者責任を追及していく。

 (3) 自動車教習所は、年末一時金や給与の賃下げ、パート・契約指導員の導入による人件費削減、料金値引き、営業時間の延長などの「合理化」に反対し、非正規社員の正規化や権利擁護をはかるとともに、経営環境の改善仕事量の拡大など職場政策要求の実現を追求する。

 (4) 観光バスは、貸切り単価の切り下げ、長時間労働の押し付け、正規からアルバイト・派遣労働者への配置替えなど、安全運行に重大な影響を与える「合理化」を許さず、不当な雇い止め禁止、正社員化、有休などの権利確保、長距離運行規制につながる改善基準改正などの要求を掲げてたたかう。

 (5) 7月の雇用情勢は、失業率・有効求人倍率ともに過去最悪となり、景気の底が見えない状況となっている。こうした経済不況の影響は、自交産業にとっても倒産・廃業が一段と懸念される情勢となっている。こうしたことをふまえ、すべての地連(本)、単組・支部では、事前防止の観点から経営実態の把握に努める。

3.憲法を守り、格差と貧困をなくすとりくみ強化を

 (1) 全労連が提起した「労働者派遣法の早期抜本改正を求める国会請願署名」と「深刻な貧困と格差解消のため、社会保障・教育予算の拡充を求める要請署名」については集中的にとりくみ10月末の集約をはかる。

 (2) 国民的な課題を追求する重要な闘いとして11月8日に「不況打開、なくせ貧困、守ろう! いのちとくらし」をスローガンとしてとりくまれる「国民大集会」(東京・代々木公園)については東京地連を中心に参加体制をはかる。

 (3) 鳩山政権は、日本外交の基盤として緊密で対等な日米同盟関係を求める一方で、米軍再編や在日米軍基地のあり方について見直す方針を打ち出している。こうした動きが核兵器廃絶や日米地位協定の見直しを加速する可能性をもたらす重要な時期であることから、12月11〜13日に神奈川県横須賀市で開催される日本平和大会へは神奈川地本を中心に参加体制をとる。

4.実勢3万人回復にむけた組織拡大強化を

 (1) 各地連(本)・ブロックは、次世代の幹部育成にむけた系統的な学習会を行い、組織の力量の底上げをはかる。講師の体制は各地連(本)・ブロックを中心とするが、要請により本部三役専従者を配置する。

 (2) 大会時を契機に、組織・教育・財政の総合した組織点検を行う。本部が作成した組合組織点検表をもとに、明らかとなった組織内の弱点克服にむけて、課題を明らかにするとともに、組織強化となる中・長期の改善計画を立て、計画にもとづいて必ず実践する。

 (3) 各地連(本)は、重点的な地域を設定し定期的な宣伝行動を行う。宣伝物は、独自に作成したものや機関紙「自交労働者」10月1日号から新連載する職場内での権利問題や2010年春闘にむけた内容の記事を活用する。

 (4) 全労連が設定した組織拡大月間(10月〜12月)の3か月間に合わせ未加入者の解消や未組織労働者への働きかけを集中して実践し、2010年1月に行われる中央委員会までには、各地連(本)が1単組以上の成果を必ず達成する。この場合「地域タクシー労働組合」(個人加盟方式)の設置を重視したとりくみを強める。

5.統一行動の設定と主な日程

 (1) 09年秋闘統一行動は、11月18日に全労連が設定した、秋闘回答引き出し、追い上げの全国統一行動日に合わせて、交運共闘の仲間とともに、新政権に対して、自交労働者の要求実現を求める決起の場とする中央行動を配置する。具体的な内容は、国交省・厚労省請願行動、昼の集会を計画中だが詳細は全労連、交運共闘との調整の上、提起する。

 (2) 2010年春闘準備の前段として、春闘要求の具体的な根拠となる「はたらくみんなの要求アンケート」にとりくむ。アンケートは全体で2万枚の目標にむけ、組合員に限らず未組織者にも対話を行いながらアンケートを行う。

 (3) 春闘方針は11月中に執行部原案をつくり、2010年1月の第32回中央委員会で決定する。春闘方針の職場討議は1月から執行部原案にもとづき行う。

 (4)主な日程

09年9〜11月 地方自治体、運輸局・支局、労働局交渉ゾーン
  10月26日 第6回中執
  10月27〜28日 第32回定期大会
  10月30日まで 要求提出
  11月8日 国民大集会
  11月10日まで 回答指定日
  11月17日 第1回常執
  11月18日 11・18中央行動
2010年1月26日〜27日 第32回関係弁護士交流会
  27日〜28日 第32回中央委員会(春闘方針決定)




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