総選挙に対する自交総連の態度ととりくみ


−自公保政権の悪政に審判を下し、タクシー破壊を許さず、
  自交労働者の要求を実現する政治を実現しよう


2000.5.22
自 交 総 連
(5月9日第2回中闘=第4回常任中央執行委員会での確認後一部語句修正)

  はじめに

 タクシー破壊の悪法、道路運送法「改正」法案が5月19日に参議院本会議で可決・成立し、タクシー労働者のくらしと労働、利用者の安心と安全は、いままさにかつてない危機にひんしています。
 タクシー破壊法に賛成したのは、自民、公明、保守、民主、自由の各党です。反対したのは、日本共産党と社会民主党です。とりわけ、委員会での徹底審議を求め、最後まで自交労働者の声を代弁して奮闘したのは日本共産党だけでした。自交労働者は、この事実を決して忘れません。
 法案は強行されても、今後の闘いによって、タクシー破壊の実行を阻止し、被害の発生を未然に防ぎ、タクシーのあり方についての新たな展望を切りひらく道は残されています。そのためには、何よりもタクシー規制撤廃を推進する悪政に終止符を打たなければなりません。想定される総選挙で、自交総連は全力で政治の転換にとりくみ、タクシー破壊の実行を許さない決意です。

1.悪政継承の森内閣は1日も早く解散を

 小渕首相の不慮の事態を受け、4月5日、森新内閣が発足しました。新政権は総選挙までの事実上の「暫定政権」であり、政局は一挙に解散・総選挙にむけ緊迫した局面を迎えています。
 森自公保政権は、首相自らの「小渕政権を継承する」との発言に示されるように、悪政推進の小渕自自公政権といささかも変わるものではありません。
1年8か月に及ぶ小渕内閣からの悪政は、労働者と国民に耐えがたい苦痛を与えてきました。
 とりわけ規制緩和政策と消費不況の深刻化は、タクシー労働者を、「眠る時間と食える賃金」さえ確保できない最悪の状態におとしいれたうえ、さらにタクシー破壊の道路運送法「改正」法を成立させました。
 自交総連は、このような悪政推進の森内閣に対し、国民の審判のため、すみやかな国会解散・総選挙を強く要求するものです。

2.自交労働者にとっての総選挙の争点

 1日も早い解散によってかちとられる今回の総選挙は、すべての自交労働者にとって、未来の展望がひらけるのか、それとも現状をさらに悪化させるのか、二つの道を決する決定的な意味を持っています。
 自交総連は、すべての自交労働者、利用者・国民とともに今回の総選挙では、以下の点を重視してたたかいます。

 (1) タクシー破壊の実行を許さない政治の実現を
 森内閣は、タクシー破壊の道路運送法「改正」法案を数を頼んで強行成立させましたが、この法案のもつ矛盾、不合理性は、何ら変わるものではありません。
 そして、タクシーの供給過剰による破滅的な競争の激化というその矛盾は、時間がたてばたつほど、法律の施行が迫るほど、いっそう深刻化し、国民だれもが、安全と安心という点で直接わが身にふりかかってくる実害の経験を重ねるようにならざるをえません。そのときに、タクシーの規制撤廃は正しいのか、このまま実行していいのか、台数規制は必要ではないのか、という広範な世論がわき起こることは必至です。
 今の政治がつづけばタクシー破壊は実行されてしまいます。
 しかし、政治を変え、政府を変えれば、今後の政省令・通達の策定における悪質企業排除やリース制・累進歩合制賃金の禁止措置などの実現とともに、タクシー運転免許構想で提起しているタクシーの将来像をも展望したタクシー破壊の実行を許さない道がひらかれます。
 そのためには、国会で法案に賛成した各党に期待できるはずがありません。どの党、どの議員がタクシー破壊法を推進したのか、よく見極めて、自公保政権に代わる新しい政治の枠組みをつくるために奮闘します。

 (2) 自交労働者の政策要求を実現する政治へ
 タクシーに限らず自動車教習所、観光バス労働者も含めて自交労働者の仕事は、政治・行政のあり方と密接に関わっています。
 タクシー、観光バスは運輸行政、自動車教習所は警察行政、共通して労働行政によって、労働条件や労働者の権利が大きく左右されます。
 自動車教習所では、少子化を理由に将来不安をあおり、「合理化」を押しつけ、不安定雇用労働者を増やし、ダンピング競争が激しくなっています。
 観光バスでは、規制緩和で際限のないダンピング競争がおこり、長時間かつ変則勤務から健康破壊や交通事故が続発しています。
 これらの背景には、もうけのためなら労働者の人権を無視してかえりみない資本の本質がありますが、問題は、そうした資本の横暴勝手を規制し、弱い立場の労働者を守るべき政府・行政が、本来の仕事をまっとうせず、逆に労働基準の緩和などで後押ししていることです。
 こうした反労働者的な行政は、長年の自民党政権のもと、政・財・官の癒着によってつくられてきたものです。
 安全で利用しやすいタクシー・観光バスの実現、自動車教習所を交通安全の生涯教育に活用することなど、自交総連が掲げてきた政策を実現するためにも、政・財・官の癒着を打破し、いまの政府をつくり変えなければなりません。

 (3) すべての国民の将来にかかわる国政の転換を
 @大企業の横暴を許さず、民主的規制とルールの確立への転換
 人減らし・リストラ「合理化」など、労働者・国民犠牲の大企業の横暴を許さず、日本の「ルールなき資本主義」に対する民主的規制と働く者の雇用と権利を守るルールの確立は今日、緊急の課題となっています。
 大企業の身勝手を許さず、労働基準法の抜本改正、解雇規制、労働者保護法の制定などを含め、ヨーロッパなどではすでに常識となっている大企業の横暴への民主的規制と社会的ルールを確立する国政の転換を強く求めます。

 A「労働者・国民本位」の国の財政への転換
 長年にわたる自民党のゼネコン本位、無駄な公共事業に税金を注ぎ込む放漫財政によって、わが国の財政赤字は 645兆円(国民1人当たり 510万円)にも及んでいます。このままいけば、際限ない消費税率アップか超インフレは避けられません。
 「公共事業50兆円、社会保障20兆円」に象徴されるように、大企業本位の国の予算の使い方を変え、国民の社会保障に税金を使い、消費不況を脱出する方向へ転換しなければなりません。

 B憲法を擁護し、戦争法の発動許さず、平和・民主主義を守る政治への転換
 戦争法の強行、盗聴法、日の丸・君が代の国旗国歌化、憲法調査会設置などアメリカの世界戦略に従属する「戦争体制」づくりの悪法が、労働者・国民の反対にもかかわらず、自自公の多数の横暴で成立してきました。いままた、森首相は、有事立法法制化まで踏み込んできています。
 こうしたアメリカと日本の戦争体制づくりに反対し、憲法擁護、戦争法発動阻止、平和と民主主義を守る政治への転換をめざします。

3.自交総連の総選挙のとりくみ

 以上のような重要な争点をもってたたかわれる総選挙は、政権交代の現実的な可能性という点でも極めて重大な選挙となります。
 相次ぐ悪政や宗教政党の権力支配に対する国民の怒りと不安は、かつてないほど高まっています。自公保政権に国民がノーを突きつけた時、それに代わる自民党の亜流でない新しい政治をどの勢力が担うのか、重大な選択が迫られています。
 自交総連は、この間、規制撤廃阻止や政策要求実現のために日本共産党と協力・共同の関係を積み重ねてきました。この信頼に応えて、同党はタクシー破壊法への反対の態度を貫いてきました。
こうした事実も踏まえ、自交総連は、自公保政権の悪政を打破し、国政革新の展望を切り開くことをめざし、総選挙ではつぎのようなとりくみを行います。
 (1) タクシー破壊を強行した自公保政権の反労働者・反国民的政策を暴露するとりくみを強めるとともに、自交労働者の生活と権利、平和と民主主義を守ってたたかう政党との協力・共同の関係をもちます。

 (2) 特定政党・特定候補の推薦はせず、組合員の政党支持、政治活動の自由を保障します。資本や警察からの妨害、弾圧に対しては、労働組合の立場から政治活動の自由を保障する見地でたたかいます。

 (3) タクシー破壊法に対する態度、自交総連の政策要求、国民的課題の実現との関連で、各政党の政策・実績・行動を明らかにし、組合員・自交労働者の政党選択の判断資料を積極的に提供していきます。

 (4) 総選挙闘争の意義の徹底をはかり、組合員・自交労働者の政治意識をたかめるための宣伝、学習を強化します。
 とくに、自交労働者の労働条件改善、政策要求実現の闘いが国政革新の課題と密接につながっていることを、広範な労働者に宣伝していきます。

 (5) 各地連・地本、各単組・支部は、総連本部の総選挙闘争方針をふまえ、とくに、職場で政治論議がまき起こり、だれもが選挙に関心を持ち、投票権を行使できるように、活発なとりくみを行います。

以  上




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