自交労働者No.593、2002年12月15日

第2回中執

怒りを行動に、春闘に

 自交総連は12月11、12日、東京で第2回中央執行委員会をひらき、03春闘方針案などを論議、来年2月1日、3月4日の統一行動を確認しました。

 討論では、規制緩和以降のひどい実態が各地から報告され、22種類の運賃で混乱が拡大している(大阪)、実態調査でダンピングの横行などが判明、マスコミからも注目を浴びた(宮城)など、営収低下、きびしい労働実態にくわえモラルの崩壊など深刻な現状が指摘されました。

 03春闘では、「怒りを行動に」をスローガンに、(1)賃上げ要求と政策提言の実行(2)1職場1重点要求の徹底追求(3)底上げ闘争の強化などを重視して、職場・地域から変革の闘いに打って出ることが確認されました。

 また、新道運法施行1年目の2月1日に全国いっせいに宣伝行動、3月4日には全労連の統一行動にあわせ中央行動を設定することにしました。

 さらに、いっせい地方選挙での政治革新とあわせ、社会保障負担増、増税計画など小泉内閣の悪政を転換する闘いの重要性も指摘されました。


 第2回政策委

環境・福祉などを重視

中央委員会で報告

 自交総連は12月10、11日、東京で第2回政策委員会(常執メンバー)をひらき、タクシー運転免許の実現に接近するための当面の目標についての政策を論議しました。

 会議では、◇アンケートや実態調査が世論喚起にも有効(宮城)◇労働者のモラルの確立が経営側の攻撃を許さない効果も発揮(京都)◇タクシーセンターでの地理試験を厳格化させた、個人タクシーの組織化が進んでいる(東京)◇自主経営の新たな企業の立ち上げ(福岡)など、各地の実践にもとづく意見が出されました。

 とくに、規制緩和の弊害・実態を暴露し世論を喚起するのとあわせ、大気汚染・渋滞など環境問題、移動制約者の輸送に関わる福祉・介護問題などに議論が集中しました。

 こうした経験を、一般化して全国的に展開していくべきものと、地域ごとの実情にあわせて限定的にすすめていくべきものとに区別し、政策化していくこととし、来年の中央委員会にはまとめを報告(中間報告の場合もあり)する予定です。



 

宣伝や交渉など多彩に

労働局に要請する北海道地連の代表

運輸支局に要請する宮城地連の代表

8mの巨大のぼりを掲げて行動する京都地連の仲間

駅前で宣伝する大阪地連の仲間

横断幕を掲げデモ行進する中国ブロックの仲間

運輸支局と交渉する大分地連の代表
 11・20統一行動では、地方でもさまざまなとりくみが行われました。

 【北海道】午前は10人で労働局要請行動と札幌駅前で地連発行のビラ300枚を配布。宣伝カーでの宣伝行動も実施しました。午後からは運輸局交渉を行い、その後、夕方から国民春闘共闘委員会が主催した集会に参加しました。

 【宮城】運輸支局に対して規制緩和によるモラルなき競争激化で、運賃ダンピングなどの不法行為が横行しているとして、実態調査に基づき減車指導や違法行為の取り締まりを要請しました。

 要請は長時間にわたり、組合側の要請に支局側が頭を下げるという一幕もありました。

 【京都】府庁・市役所への早朝宣伝行動と市役所前での座り込み行動を行い、8mもある大のぼりを掲げタクシーの苦しみを市民にアピールしました。

 支局交渉では、「タクシー労働者のくらしと権利の確保及び、安心・安全な輸送の確立に関する要請書」を各労組の代表が提出し、悪質業者には毅然たる行政対応で当たることを要請しました。

 【大阪】3地協が3ルートに分かれ「未組織宣伝」行動。本部作成のビラと、佐野南海労組作成のビラを各ターミナルのタクシー乗り場で労働者に配布しました。

 この宣伝行動には40人の仲間が参加し、約1000枚のビラをタクシー労働者に配布しました。

 【岡山、広島、山口】中国ブロックは、朝11時より運輸局要請を行い、「タクシー運転免許」の法制化の検討、増車届出の乗務員確保などを要請しました。

 午後からは、初級労組講座をひらき、中国ブロックの仲間で労組運営などを学習しました。

 【大分】運輸支局交渉と監督署交渉、ビラ配布行動を実施。運輸支局交渉では、事前に提出していた要請内容に基づき実施。最賃法違反会社の問題では「基準局との相互通報制度を活用して適正化が図れるよう努力する」との回答を得ました。また道運法違反問題では、「ルールを守らせるよう厳しい措置で臨む」などの前向きの回答をしてきました。



 宮城地連

タクシー実態アンケート

7割がダンピングあると回答


 【宮城】宮城地連は10月28日から5日間規制緩和の弊害実態調査を行いました。

 仙台市内のタクシー運転者を対象にしたアンケート調査では982人が回答し、仙台市内のタクシーの台数については9割以上の人が「多すぎる」と答え、運賃ダンピングについては約7割が「聞いたことがある」と回答しました。

 また、区域外営業については343人が「ある」と回答。アルバイト運転手、交番のない会社についてはともに4割以上の人が「ある」と答えました。

 これらはいずれも道運法に違反する行為。石垣書記長は「これまではダンピングなどのルール違反に対しては会社が懲戒処分をするなどしていたが、競争の激化でモラルの低下が運転者と会社にも広がっている。また、最近はタクシーがらみの事故も多発しており、運転者の生活悪化など規制緩和による悪影響はあきらか。今後、この実態を告発し、行政にしっかりとした指導を求めていきたい」と話しています。


 千葉地本

区域外営業に連携し対処

成田空港問題で支局交渉


 【千葉】東京・神奈川〜成田空港間の定額運賃が認可されて以降、東京等のタクシーが帰りに予約以外の乗客も乗せたり、別方面の乗客を乗せるなどの違法行為が頻発、エアポートタクシーが深刻な影響を受けている問題で、千葉地本はエアポートタクシー親睦会と共同で12月5日、千葉運輸支局交渉を行いました。

 対応した渡辺輸送課長は、県外車両の違法営業や貸切バス免許車両の白タク行為について「予約と称して進入し『かっぱらい』は許されない。調査する」と答え「経営側と警察・公団・運輸局で連携をもって対処する」と約束しました。

 また、エアポートタクシーの車両が7〜12年もの使用になっていることについては「車両にも言われるように限度がある。経営者を集めて改善策を求めたい」、運転者への制服・ネクタイの支給についても「制服・ネクタイぐらい貸与するのは当然であり、対処する」と答えました。


 仙台・日交タク

更生計画が終結

倒産から3年4カ月


【宮城】会社更生法の下で再建をすすめてきた仙台の日交タクシーは11月29日、仙台地裁から会社更生法の終結決定を受けました。

 同社は、35億円の負債を抱えて99年に倒産、会社更生法の適用を受け、10年間で16億円を弁済する更生計画をスタートさせました。しかし、出資しているグリーンキャブが、残っていた10億円の債務を11月までに一括して肩代わり弁済したことから、3年4か月間での短期終結決定となりました。

 日交タクシー労組は、組合員の生活と権利を守る立場を守りつつ、再建に必要な協力もしてきました。


 二種免保有者数

運転者の高齢化深刻

若者の取得者激減


 新道運法施行以来タクシー業界の労働条件は劣悪になり、安心・安全輸送も崩壊の危機にさらされています。また、劣悪な労働条件がわざわいして若者の二種免取得者自体がごく少数になっていることが警察庁の統計であきらかになりました。

 第二種免許(普通・大型・他の計)保有者は2001年末現在、全国で242万人余りですが、そのうち60歳以上が49・5%を占めています。20歳代は1・7%、30歳代は7・3%に過ぎません。

 二種免許保有者は年々高齢化がすすみ、60歳以上の人が占める割合は97年からの5年間で約半数にまで達したことになります。また40、50代と合わせると90%以上になります。

 規制緩和で増車となるのと裏腹に、若者の二種免取得者が少ないことは、今後、労働力不足がいっそう深刻になることも予想されます。

 今タクシー業界に必要なのは増車より、若者が魅力を感じる労働条件と規制緩和の見直しです。


 労働組合キホンのキ

ウソの反共攻撃には事実で反撃
団結を固めて一致して対処

(9)経営側の攻撃の 手口と対応(1)

 経営者の立場からすれば、バラバラで意のままになる労働者と団結して権利を主張する労働者とでは、どちらがいいかは自明のことで、ほとんどの場合、経営側は労働者の団結を嫌い組合弱体化の攻撃をかけてきます。

反共攻撃の手口

 自交総連の組合が結成された際に、最初に行われるのが、「自交総連(全労連)は共産党の組合だ」「会社がつぶれる」「組合に入ると子どもが就職できなくなる」などという反共攻撃です。

 自交総連は政党から独立した組合であり、一致する要求にもとづいて日本共産党と協力・共同することはありますが、組合員に特定政党支持を押しつけたり、特定政党からコントロールされることなどありえません。

 にもかかわらず、経営者がこのような攻撃を行うのは、国民の意識のなかにある共産党アレルギー(注)を利用して、労働組合を恐ろしいもののように見せかけようとしているのです。

(注)戦前、日本共産党が天皇支配や戦争に反対したため非国民といわれ犯罪者として扱われことから、日本共産党を恐れる風土がとくに地方ではいまだに存在している。

ウソには事実で

 こうした攻撃には、事実で反撃することが重要です。

  「自交総連ができてつぶれた会社があるのか」「子どもが就職できなかった例があるのか」「あるなら具体例を示しなさい」と毅然と反撃します。

 もともとウソですから具体例を示せる経営者はまずいません。もし例をあげた場合は、事実関係を正確に調べれば、ウソだということがすぐわかります。

 細かいことでも軽視せず、こうした経過を組合員、非組合員全員に対話やビラなどで逐一知らせ、会社の攻撃がいかに事実に反する不当なものであるかを暴露します。

会社の狙いは労働者の分断

 同時にこのような攻撃をしてくる経営側のねらいを見極めることが大切です。

 会社は組合員の団結を崩すために反共攻撃をしてくるのです。これに乗せられて組合員が疑心暗鬼になったり、団結が崩れたりすれば、経営側の思う壷です。

 組合員同士が常に情報を交換して、ウソにまどわされず、一致して対処することが重要です。


 新加盟のなかま 
 民主的な運営を
 (666)京都・京都タクシー舞鶴支部

 【京都】舞鶴市にある京都タクシーで働く仲間は11月18日、京都タクシー舞鶴支部(高田孝委員長、20人)を結成、自交総連に加盟しました。

 同社には、京タク労組舞鶴がありましたが、大会承認事項を無視したり、組合運営に反対する者は処分していくという、あまりにも非民主的な運営がおこなわれ、これ以上の犠牲者を出さないためにも、新組合を結成し上部組織に加盟することになりました。



自 交 総 連