自交労働者No.720、2008年10月1日

3万人組織へ1歩1歩着実に前進

未組織地方に自交総連の旗

1年間の新加盟組合

 自交総連には、この1年間で11地方16組合の新しい組合が加盟しました。困難を乗り越え、解雇撤回や割増賃金の支払い、有休改善など一歩一歩着実に前進しています。3万人の組織回復へむけ、この1年間に新加盟した組合について分析しました。

産別組織の強さを実感

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4月27日から4日間にかけて神奈川、静岡、山梨の3地方で行われた未組織宣伝キャラバン行動

加盟の理由

 加盟の理由では、「労働条件の改善」が最も多くなっています。大幅賃下げや一時金カット、廃止などが会社提案されたため、組合が必要となったものです。

 次に多いのが「産別結集の必要性」や「会社への対抗」で、現在の上部組織の力不足や、個人では会社に対応できないなどの理由があります。

加盟の形態

 加盟の形態では、未組織の組織化が最も多くなっています。また、際限のない労働条件の悪化を許さないためには自交総連への結集が必要(北海道・富士ハイヤー労組)として加盟しています。

地連が機敏に支援体制確立

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 特徴的なのは、今まで自交総連の組織がなかった地方に新たに組合が結成(秋田・勝平タクシー労組)されたことです。勝平タクシー労組では、会社のワンマン経営に対し、県労連に相談し、宮城地連を紹介され、要求内容、組合結成の手順について宮城地連が機敏に対応して支援体制を確立し、加盟となりました。また、自動車教習所の加盟(長崎・自交総連本原自動車学校労組)もあります。本原自動車学校労組では、今年1月に県労連に「賃金のしくみがわからない」と相談し、自交総連の役員をまじえての学習会を開催して、要求の整理や組合結成に向けた作業をすすめ加盟となりました。

 こうしたところでは、自交総連の威力、仲間の団結のすばらしさを実感し、組合員の増加をめざし奮闘しています。

◎1年間の新規加盟組合

07・10・7 北海道・富士ハイヤー労組
12・4 鹿児島・あずま交通労組
12・20 鹿児島・鹿児島自交一般労組
08・1・6 福 岡・玄海タクシー労組
3・29 宮 城・長町運転者嘱託労組
4・27 長 崎・本原自動車学校労組
4・29 秋 田・勝平タクシー労組
7・7 大 阪・オレンジキャブ大阪労組

(注)機関紙に掲載していない組合は含まれていません。


福岡

一方的就業規則変更で賃金減

西鉄タク労組が会社を提訴へ

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スライド賃下げの撤回を求める西鉄タクシー労組の仲間=8月26日
 【福岡】福岡地連西鉄タクシー労組は8月26日、会社に対し今年1月からの未払い賃金約160万円を請求する訴訟を福岡地裁に起こしました。

 西鉄タクシーでは、2006年12月に、会社から運賃改定に伴うスライド賃下げ提案が行われ、昨年1月に賃金に関する労働契約が一方的に変更され、今年1月から過去3年間の当該月の1日1車当たり平均運送収入を基礎とし、月々の平均増収額に応じて支給率が変動するしくみが導入されました。

 旧賃金体系では、運送収入が40万〜42万円未満の者に対し、47%の支給があったが、新賃金体系では前月の平均増収率が1〜3%未満の場合46・6%、3〜5%未満の場合43・0%(40万〜41万円未満)、もしくは45・7%(41万〜42万円未満)、5〜8%未満の場合42・4%となり、公休出勤手当も増収率に応じ変動するよう設定され、有給休暇の補償額も昨年12月分から変更されました。

 そのため、会社側が一方的に就業規則を変更した結果、本来得られるはずの賃金が減額したとして、賃金との差額約160万円を会社側に求め裁判を提起しました。

 組合側では「支給率を改悪したことは、歩合率を維持し、運転者の労働条件の改善を図るよう求めた運輸局の指導にも反する」としています。


規制緩和失敗を司法判断せよ

東京地連

国賠裁判の控訴審始まる

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宣伝行動を行う東京地連の仲間=9月25日、東京・霞ヶ関
 【東京】大口割引の認可など行政の規制緩和策によって、労働者の賃金が下がり、タクシーの安心・安全が破壊されてしまったことの責任を問う国家賠償裁判の控訴審が9月25日に始まりました。

 一審の東京地裁では、労働者の訴えを聞こうともせず、労働者を利害関係人とも認めない冷たい不当判決が出されたため、東京地連・原告団・弁護団では、新証拠や学者の意見書を含め一審判決の不当性を論破する控訴理由書を用意して控訴審に臨みました。

 東京高裁102号法廷を100人近い傍聴の組合員が埋めるなか、意見陳述で、宮川弁護団長は「規制緩和が労働者・国民のくらしを破壊してきたことの責任を司法がきちんと判断する必要がある」と述べ、田辺弁護士は「東北運輸局は運賃問題で自交総連宮城地連委員長から利害関係人として意見を聴取する通知を出した。それを指摘した原告側の主張に、国は『東北運輸局の決定は誤りだ』という答弁書を出している。間違っているのは労働者の意見を聞かずに割引運賃を認可した国(関東運輸局)の方だ」と鋭く国側の矛盾を指摘しました。

新版

職場権利と自交労働者

 ◎内容《労働組合の基礎知識、労働条件の不利益変更の禁止、自動車運転者の改善基準告示、職場点検のポイント、諸規則一覧表》など

編集・発行 自交総連

 B5判119頁 定価700円(〒210円)

 (組合員は地連・地本に注文して下さい)


08年度最賃、627〜766円

地域別最低賃金額

格差は昨年より拡大の139円

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時給1000円以上を訴えた最賃宣伝=5月30日、池袋駅前
 地域別最低賃金の改正審議が、9月11日までにすべての都道府県の地方最低賃金審議会で終了し、地域別最低賃金の改正の答申が行われました。

 地方最低賃金審議会から提示された「2008年度地域別最低賃金額改定の目安について」(Aランク15円、Bランク11円、Cランク10円、Dランク7円)を参考に審議が進められ、各都道府県における引上げ額は7円から30円となっています。

 引上げ額が最も高かったのは、神奈川県の30円で、以下、東京都27円、埼玉県が20円などとなっています。

 改定後の最低賃金時間額をみると、最も高いのは東京都と神奈川県の766円(現行719円)で、次いで大阪府(748円)、愛知県(731円)などの順となっています。一方、最も低いのは宮崎県、鹿児島県及び沖縄県の627円です。

 最も高い地区と最も低い地区の格差は139円で、昨年(121円)より拡がりました。

 今後、各都道府県労働局において、答申の内容についての関係労働者及び関係使用者からの異議申出に関する手続きを経て、改正決定が行われます。

表


自交労働者と選挙(2)

献金で財界に有利になる政策

賃金・労働条件は政治と密接に関係

 労働者の賃金・労働条件と政治とは密接な関係があります。法律が経営者にとって有利に変えられてしまえば、労働条件の低下が社会全体に広がってしまうからです。

 いま問題となっている低賃金労働者の激増、格差と貧困の広がりも、その原点をたどれば労働法制の規制緩和、特に労働者派遣法の制定と連続改悪に行き着きます。

 もともと「労働者の派遣」自体が戦後は禁止されてきました。派遣業者がピンハネし放題でタコ部屋といわれる強制労働が存在した戦前の反省からです。

 それが解禁されたのが1985年の労働者派遣法の制定(86年施行)です。当初は、特殊技能が必要な職種に限られていたのが、99年の改悪で対象職種が原則自由化され、さらに03年の改悪で製造業にも派遣できるようになりました。

 その結果、単純労働に従事する派遣労働者が急増、ほとんどが年収200万円以下の低賃金労働を余儀なくされています。

 労働者派遣法を必要としたのは、安上がりで労働者を使いたい財界でした。そのために、政治献金や政府の委員会を使って、規制緩和を実行させてきました。こういう政治を続けるのかどうか、国民が判断しなければなりません。

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われら自交総連 3万人めざして(6)

自交総連は組合員の要求実現するため奮闘する組織

特定政党の支持、スライド賃下げには反対貫く

 自交総連は、タクシー・ハイヤー、自動車教習所、観光バスなどで働く労働者の組合です。全国33地方に2万人の仲間がいます。

 自交総連は、日本の自交労働運動の歴史を受け継ぎ、1979年に結成されました。当時、自交労働運動には、組合員の思想信条の自由を侵す特定政党の支持義務付けと運賃改定時のスライド賃下げを容認する年度別賃金方針、という二つの問題をめぐって分裂が持ち込まれました。自交総連は、特定政党支持の押し付け反対、スライド賃下げ反対(ノースライド)という立場を貫くために、新しい産業別労働組合として発足したのです。

 労働組合といっても、組合員の意見を聞かずに幹部が安易に会社に妥協したり、特定の政治方針を押し付けるなど民主主義に反する運営をしている組合もありますが、自交総連は、常に「組合員が主人公」「全員参加の運動」という組合民主主義の原則を大切にし、資本や政党から独立して、組合員の要求を実現するために奮闘してきました。

 自交総連結成の要因のひとつとなった「ノースライド方針」は、当時は経営者から目の敵(かたき)にされ、分裂した労働組合からも攻撃されましたが、2007年に国土交通省が出した通達では、運賃改定時に確実に労働条件を改善する方法として、国が指導するまでになりました。

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各地の大会

150人めざす拡大運動を

山口第45回大会

 山口地連は9月17日、下関市勤労福祉会館で第45回定期大会をひらき、08年度運動方針と新役員体制を確立しました。

 大会では、オブ加盟していた小郡交通労組の正式加盟が報告され、引き続き、執行委員会で決めた宣伝行動を必ず実施し、150人をめざす拡大運動に力を入れることが確認されました。

 委員長=坂本一雄▽副委員長=枝光敏樹▽書記長=戸倉伸一郎(いずれも新)

すべての労働者との連帯を

神奈川第54回大会

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神奈川地本第54回大会=9月24日、神奈川県民ホール

 【神奈川】神奈川地本は9月24日、第54回定期大会をひらき、職場・地域ですべての労働者と連帯し、組合に迎え入れることなどの新年度運動方針を決めました。方針は、1955年の県ハイタク労組の発足以来の歴史を振り返り、組織・財政・運動の基本に立ち返って、組織人員の低迷などを打ち破ることを提起しています。

 委員長=中野清(新)▽副委員長=石村和夫(再)、鎌倉裕潔(再)▽書記長=大滝信一(新)