自交労働者No.870、2015年7月15日

法律守らない事業者はいらない

運賃変更命令差し止め訴訟に抗議

労働者犠牲の競争許されない

大阪地連

対話する地連の吉田副委員長=6月16日、新大阪駅
対話する地連の吉田副委員長=6月16日、新大阪駅

 【大阪】大阪地裁では現在、エムケイグループの近畿地区4社と個人タクシー「MKパートナー」が、国を相手取り、公定幅運賃をめぐる訴訟が争われています。ワンコイングループなども同様に提訴し係争中です。
 大阪地連は6月16日、大阪高裁・地裁合同庁舎前、新大阪駅での宣伝行動にとりくみ、公定幅運賃を不服とするエムケイグループやワンコイングループなどが起こした運賃変更命令差し止め訴訟について、「両社に道理はない」「実態を理解して公正な判断を」と裁判所に向けて訴えました。
 宣伝のマイクを握った地連の秋山委員長は「労働に対する正当な賃金や、事業者が負担すべき経営コストを労働者に転嫁して運賃を安売りするのがエムケイやワンコインのやり方。他社から利益を略奪するしくみを裁判所はしっかり把握すべき」と訴えました。
 さらに秋山委員長は「エムケイもワンコインも、国が定めた公定幅運賃が、経営の自由や努力を阻害し、憲法22条(職業選択の自由)違反だとしているが、彼らの言う自由や努力は違法な搾取であり、労働者犠牲の上でしか成り立たない。自らのビジネスモデルを守るために公共の福祉に反しており、こうしたやり方が許されて良いはずがない」と語気を強めました。

春闘総括と次年度方針を議論

白タク合法化の動きに警鐘

東京地連夏季討論集会

175人が参加した東京地連夏季研究集会=7月8日、栃木・きぬ川ホテル三日月
175人が参加した東京地連夏季研究集会
=7月8日、栃木・きぬ川ホテル三日月

 【東京】東京地連は7月7〜8日、栃木県・鬼怒川で第58回夏季研究集会を開き、40組合175人が参加して春闘総括、運動方針などを討議しました。
 あいさつした城委員長は、特定地域指定の矛盾を指摘して運転者の労働条件改善のための新たな規制としてタクシー運転免許の法制化を訴えるとともに、白タク合法化などの動きに警鐘を鳴らし、組織の強化拡大を呼びかけました。
 五十嵐仁・元法政大学教授が、「安倍政権の暴走阻止」と題し、規制緩和や戦争法案の危険性を講演しました。
 12の分散会に分かれて討論、乗務員負担の改善など春闘の到達点、組織拡大、次年度運動方針について意見を交わしました。
 全体討論では、組合員の倍増を達成した羽田交通労組が、機関紙を手渡して宣伝を続け、従業員のリストで一人ずつ話して拡大したなどの経験を発言、平和の危機に際し、戦争法案反対に今こそ立ち上がろうとの発言もありました。

賃金問題学習会ひらく

経営者側からも5社が参加

宮城地連

解説する今村書記長=7月3日、宮城県印刷会館
解説する今村書記長
=7月3日、宮城県印刷会館

 【宮城】宮城地連は7月3日、県内において、本部の今村書記長を講師に招き、賃金問題学習会を開催しました。
 学習会は、新規労働者が入ってこないタクシー産業の現状について、賃金・労働条件改善の面から克服することをめざし開催されたものです。全体で27人が参加があり、経営者側からも5社が参加しました。
 今村書記長は、タクシー産業の現状について、(1)経験したことのない局面に突入、止まらない需要減退、(2)運転者確保は死活的な課題、労務倒産の傾向が顕著に、(3)まったく先が見えない?問われる政策的方向性、(4)安心・安全、誇りと働きがい、地域献上にむけて――をポイントに解説しました。さらに、最低賃金をベースとした固定給プラス歩合給の賃金体系についても詳しく説明しました。
 参加者からは、「賃金問題について、まとまった話を聞けて良かった。今後のとりくみに生かしたい」などの感想が聞かれました。

春闘総括と今後のとりくみを確認

制度的要求などで前進

埼玉地連 第46回中央委員会

 【埼玉】埼玉地連は6月21日に第46回中央委員会を開催し、春闘総括と課題、今後のとりくみについて確認しました。
 今春闘は、多くの単産組織が社会情勢に後押しされ賃上げムード一色でしたが、タクシーにおいては、こうした情勢下であっても賃金アップに繋がる回答が得られず、地連の統一要求書でも「5%の賃上げ」を掲げましたが、回答を得た組合はありませんでした。一方、累進歩合制度の廃止を要求した組合では「現行の賃率を維持しつつ廃止していく方向で継続協議中」との報告や、公出や忌引き休暇といった制度的要求を出した組合では「ほぼ合意に至り、協定による締結を行った」との報告がありました。
 また、会社が身売りされた昭和交通系の労組からは「雇用の維持や労働条件の維持について合意がなされた」との報告がありました。
 閉会あいさつで執行部は「加盟組合があるからこその地連です。開かれた組織として、地連をどんどん活用してください」とよびかけ、石野執行委員長代行の「団結ガンバロー」の突き上げに団結を再確認し、閉会しました。

教宣・機関紙学校ひらく

継続発行がんばりたい

大阪地連

課題にとりくむ参加者=6月21日、大阪府柏原市・サンヒル柏原
課題にとりくむ参加者=6月21日、大阪府柏原市・サンヒル柏原

 【大阪】大阪地連は6月21〜22日、「15年度教宣・機関紙学校」を開催し、各単組の教宣担当者ら13人がスキルアップに励みました。
 開校あいさつを行った福井副委員長(茨木交通労組)は「茨木では、新しい機関紙『茨木通信』の第1号を発行したところです。私と大矢教宣部長の今回の課題として、第2号を完成させたいです」と意気込みを述べました。
 松原教宣部長がレイアウトや記事の書き方など機関紙編集のノウハウを講義、参加者は各人のレベルに応じた課題にとりくみました。パソコン初心者は簡単な文書作成を行いました。
 2日目には『茨木通信』の第2号も完成、大矢さんは閉校式で「これから継続発行にがんばりたい」と抱負を述べました。

現場検証の実習と図面起こし

東京・南部ハイタク道交法学習会

現場検証の実習を行う参加者=5月31日、静岡県伊東市
現場検証の実習を行う参加者=5月31日、静岡県伊東市

 【東京】5月31〜6月1日、南部ハイタク道交法学習会が開催され40人が参加しました。
 初日の課題は現場検証。「交差点を直進するタクシーが信号無視で右から左に交差点を渡ってきた自転車に衝突した」という設定のもと、「自転車に気付いた地点」や「衝突地点」などを運営スタッフが次々と計測し、参加者がノートに書き留めるといった形で行われました。実習後は宿に移動して図面起こし。作成した見取り図を吉永道対部長が講評し、図面を書く場合の要点を解説しました。
 2日目は、柿沼道対部顧問が、休業損害について、組合の具体的なとりくみ事例を説明。また、個タクの柏崎さんが「点数制度のからくりと対処法」について、実演を交えながら分かりやすく講義しました。

第4回自主経営交流会

自治体と共同し業績伸びた

東北ブロック

 東方ブロックは6月23〜24日、秋田県で第4回自主経営交流会を開催。横手タクシー(秋田)、ハイヤーセンター(山形)、余目タクシー(山形)、秋保交通(宮城)の4社が参加。本部・ブロック含め全体で12人が参加しました。
 交流会では、各社のとりくみについて、現状と問題点が報告されました。ハイヤーセンターからの報告では、地域交通を守るために、鶴岡市とともに、デマンド交通や児童の送迎などにとりくんでおり、業績を伸ばしていることが注目を集めていました。
 その後、本部の今村書記長が講演。タクシー産業が置かれている状況について説明し、特に、若い労働者の確保に全力をあげるよう強調しました。
 2日目は、(1)資金繰りについて、(2)新規労働者の確保策、(3)魅力ある職場づくりとは、(4)地域住民の足を守るとりくみと公契約条例――の4つのテーマについて意見交換しました。

胸を張れる業界に

団結してタクシー運転免許の実現へ

東京・青年部夏季学習会

講義を聞く東京地連青年部の仲間=6月27日、都内
講義を聞く東京地連青年部の仲間
=6月27日、都内

 【東京】東京地連青年部は6月27日、日の丸猿江営業所会議室で、夏季学習会を開催し、30名人参加しました。
 本部の今村書記長が「世界のタクシーと日本のタクシーの比較」と題し、諸外国のしくみや経験を話し、今後の活動に生かせるよう議論しました。諸外国の労働者の権利意識と、国の対応を知り、日本は後れをとっていると感じました。ヨーロッパのように「俺の息子もタクシードライバー」と胸を張って言える業界を目指していきたいと目標ができました。つづいて、城委員長が「タクシー規制緩和反対闘争の歴史と今後の課題」と題して運輸省前の抗議行動やストライキ、国賠訴訟の運動などの経過や、総括などについて語りました。今後の課題として、乗務員と利用者が優遇される制度の確立や、個人タクシーを5年から6年で取得可能にする案、自交総連の進めるタクシー運転免許制度の実現に向け職場でもしっかりと学習し、団結して奮闘していきたいと決意しました。

過労死 運輸業が突出

厚労省が労災認定状況発表

 厚生労働省が14年度の過労死等の労災補償状況をまとめました。
 過労死等の支給決定件数は277件(前年度比29件減)で、精神障害の支給決定件数は497件(前年度比61件増)でした。
 一万人当たりの認定率は、脳・心臓疾患では、道路貨物(トラック)が全労働者平均の8・1倍、道路旅客(バス・タクシー)が4・7倍。精神障害では、貨物が2・4倍、旅客が2・2倍となっています。全体としての件数は減少しているものの、道路運送業で働く労働者の過労死等の多さは依然として際立っています。
 過労死は月の残業時間が45時間を超えると増えはじめ、80時間を超えると認定されることが多くなります。こうした長時間労働を容認する結果となっている労働時間等の改善基準の改正の必要性は明らかです。

問題だらけの「Uber」

今後の動きに警戒が必要

 「Uber(ウーバー)」というサービスが、今、ハイタク業界に波紋を呼んでいます。二種免を持たない普通の人が、ウェブを介してお客を取り、自家用車を使って目的地まで届けるというものです。
 支払いは現金ではなく、事前登録したクレジットカードで行います。これは、利用客の利便性のためだけではなく、運転者と利用客が直接料金の授受を行うことを防ぎ、ウーバー側が仲介料を確実に得るためです。運転者には、利用客が支払った運賃から仲介料を除いた乗車料金が支払われるしくみです。

世界中で大問題に

 サービスを手掛ける「ウーバー・テクノロジーズ」は、創業からわずか5年で50か国259都市以上に進出しました。事実上タクシー事業を展開しながら、タクシーの営業許可を取っていない「白タク」を組織化しているとして、世界中で大きな問題になっています。ヨーロッパでは、ロンドン、パリ、ベルリンなど主要都市で抗議のタクシーが路上に集合し、交通をストップさせました。フランスでは6月25日、タクシー労働者らが各地で抗議デモを行い、一部が車を転覆させたりタイヤに火をつけたりするなど暴徒化、空港や道路が封鎖される事態となりました。

国内への進出も時間の問題か

 日本では、2月に福岡市でウーバーが「ライドシェア実験」と称した相乗りサービスを開始しました。国土交通省が「道路運送法に抵触する可能性がある」として指導、中止となりましたが、予断は許せません。
 サンフランシスコに拠点を置くウーバーの競合社「Lyft(リフト)」は6月23日、楽天の三木谷浩史社長を取締役に迎え入れたと発表しました。楽天は3月、リフトに3億ドル(約370億円)を出資すると発表しており、両社の関係は一層深まります。 三木谷氏が取締役会に加わったことで、今後、アジア市場展開が予想されます。三木谷氏は、政府の産業競争力会議のメンバーで、かつて医薬品のネット販売解禁を推進した人物です。薬のほか、さまざまなネット関連の規制を緩和することに力を入れており、「白タク」を合法化すべく、政府の規制改革会議や国家戦略特区諮問会議等に対して要望・提案しています。

安心・安全にも深刻な影響

 この流れに対し、業界からは猛烈な反発があります。全国ハイヤー・タクシー連合会は、この問題を「タクシー事業にとって戦後最大の危機」とし、業界が一致団結することを呼びかけています。
 素人が運転する危険な「白タク」運行は、事故時の補償を整備しないことで低料金での運行を可能にするものです。タクシーの需要を奪うことのみならず、安心・安全にも深刻な影響を与えるものであり、十分に警戒して、事業者も含めて共同を広げて規制緩和の芽を摘み取る必要があります。

各地の大会

戦争法案と派遣法を廃案に

なら第37回大会

 【なら】なら合同労組は6月21日、第37回定期大会を開催しました。
 大会では、運動方針案とともに、内閣総理大臣宛の戦争法案廃案の訴えが全会一致で採択されました。
 来賓の小林照代共産党県会議員は、あいさつで「国会で審議されている希代の悪法『戦争する国づくり』法案を廃案にしなければならない」と訴えました。竹末奈労連事務局長は「労働者派遣法が衆院を通過した。戦争法案と合わせ廃案にしよう」と訴えました。
 委員長=林克己▽副委員長=森本昌代、多米博幸▽書記長=星山圭司(新)