自交労働者No.913、2018年1月15日

本年もよろしくお願い致します

全国各地の仲間から2018年への決意

 新年に当たって、自交総連の全国各地のタクシー、観光バス、自動車教習所の組合員から決意を聞きました。

自らの労働条件は自ら切り開く

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  宮城・KM仙台労組 柴田正孝
  タクシー産業をめぐる情勢は、ライドシェアでも、様々な新たな規制緩和の動きでも、本当に先行きが見通せないものになっています。
  02年の規制緩和による供給過剰状態も、特定地域に指定されていながら、一向に改善せず、営収も減っています。なかなか明るい材料を見出すことがむずかしい状況ですが、こうした時こそ、労働組合の果たすべき役割が重要だと思います。規制緩和反対の闘いでも、ライドシェア反対のとりくみでも、自交総連はつねに先頭に立ち、実績をあげています。
  「自らの労働条件は、自ら切り開く」という自交総連の先輩の闘いに学び、今年も共にがんばりましょう。

規制強化で安心して働ける業界へ

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  東京・高砂自動車労組 中村雅一
  私は「クセがすごい」先輩方に育てられました。合理化をかけられた時代もありましたが、粘り強い交渉で乗り切った過去を経て、今の職場があることを痛感しています。
  しかし、会社との交渉だけで乗務員の実入りを大きく増やすには限界があります。労働者・国民の懐を温め、年金者負担の軽減や社会保障制度の拡充を求め、安心してタクシーにもお金を使える環境にするため、政府に訴えるとともに政治を変えていくことが重要です。
  白タク合法化阻止、規制強化で安心して働ける業界にしていくこと、政治に関心を持つことを職場で浸透させることに重点を置いた活動を心がけたいと思います。

解かりやすい言葉と理解される行動を

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  東京・上北沢自動車学校労働組合 齊藤孝行
  新年おめでとうございます。昨年の当組合の成果の一つとして「65歳定年」があります。60歳定年、以後は時給制の契約社員だった制度を、65歳まで正規雇用として通常通り昇給し、一時金支給対象とさせることを実現しました。
  毎年少しずつではありますが着実に給与、一時金その他労働条件も改善されてきています。今後更に、飛躍的に向上させるには、社会全体をもっと盛り上げていかねばなりません。
  そのためには、時代の変化に対応できるような柔軟な発想、とりわけ若い人達に「解かりやすい言葉」「理解してもらえる行動」を心掛け、組織強化、拡大に向けて頑張っていきたいと思います。

新自由主義勢力を断固排撃しよう

  神奈川・芙蓉交通支部 辻文久
  アベ政権は「世界一企業が活動しやすい国づくり」をめざして、経済特区や労働法改悪や、まやかしの「働き方改革」「女性活用」で、大量の非正規労働者を創出し、雇用・時間・賃金も企業の自由裁量にできる社会を画策しています。
  ライドシェアは、公共的責任の放擲であるのみか、タクシー労働者の地位を根こそぎ解体し、バラバラの個人として巨大企業に隷属させるシステムに他なりません。
  昨年政権交代を果たせなかった痛恨の思いを忘れずに、また労働組合の衰退にもめげずに、断固としてアベ新自由主義打倒、ライドシェア排撃の活動を進めていきましょう。いつでも今が出発点!

規制緩和の抜本的見直しを求める

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  大阪・大阪はとバス労組 山本雅広
  バス業界では、軽井沢事故を受け対策が講じられてきましたが、17年7月、総務省は国交省へ、運賃下限割れ、改善基準告示の超過、ブローカーへの手数料バックなどの問題について重点的に指摘した勧告を発出しました。
  今後、国交省に対し勧告に従って改善するよう求めるとともに、改善基準告示の改正・法制化とともに規制緩和の根本的な見直しと実効性ある労働時間短縮を求めていきます。
  大阪では、維新の会が一度否決された大阪都構想の住民投票を、再び行おうとしています。昨年の堺市長選挙、岸和田市長選挙につづき「反維新」のたたかいに奮闘します。

若さ生かす活動で結果を出していく

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  福岡・甘木観光労組 古賀文紀
 昨年、私が働きくらしている朝倉市は未曾有の豪雨災害を被りました。全国の自交総連の仲間、また全労連に結集する仲間の皆さんからカンパや温かいご支援を受け、心よりお礼申し上げます。私が所属する朝倉市の甘木観光バスでは4人が被災し、家を失い現在も仮設住宅で暮らしている組合員もいます。これからも組合員みんなが寄り添い、困ったときに頼れる自交総連と言ってもらえる組合にしたいです。
 また、今年の抱負は、福岡地連の幹部育成と組織拡大です。結果を出していくため、これまでにない取り組みを考え、若さを生かしていく活動で奮闘し、労働条件を大幅に改善する一年にしたいと思います。

地域公共交通の確立を

移動権まもり白タク合法化阻止

中央執行委員長 城 政利

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  謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
  衆院総選挙の結果、改憲の賛成派は3分の2を超えました。安倍首相も国会での改憲発議に向けて「合意形成するよう努力する」考えを強調しています。9条改憲に反対する世論を盛り上げ、労働者と国民が広く結びついた運動が必要です。
  「働き方改革」ではライドシェアを突破口に労働者性を奪い、労基法をはじめとする労働法制そのものを無効化しようとしています。過労死や改善基準告示違反も多いなか、労働時間の上限規制に5年間の猶予期間を設けたことは問題です
  ハイタクでは、白タク合法化阻止の運動が産別8団体の共闘や事業者を含めた共同の運動の成果で日本に上陸させていません。一方、海外ライドシェア企業と連携を取る事業者が出現していることに危機感を持ちます。
 合法化が実現した場合、すぐにでも対応出来る体制を取ったとも言えます。「ひさしを貸して母屋(日本業界)を取られる」ことにならないか危機感は増します。関係労使で、安心安全を確保するためにも、労働条件改善で社会的水準に接近させると共に、住民の移動権をまもる地域公共交通の確立が白タク合法化阻止につながることに確信を持ち、奮闘しましょう。

労働者を守れ

国交省・厚労省交渉を実施

交運共闘

厚労省と交渉する交運共闘の代表=12月8日、厚生労働省
厚労省と交渉する交運共闘の代表=12月8日、厚生労働省

  交運共闘は12月8日、城議長らが参加し、国交省・厚労省交渉を行いました。
  国交省では、ライドシェアを容認するなとの要請に、自動車局旅客課の木部課長補佐が、「ライドシェアは運行に責任を負う主体を置かず、安全確保、利用者保護の観点から問題がある。きわめて慎重に検討すべきだ」とし、ウーバーが東京でやっている配車でサージプライシングを適用しているのはおかしいのではないかとの質問には「手数料として受け取っている可能性があるのではないか? 調べてみる」と答えました。
  厚労省では、長時間労働規制や最賃引き上げに消極的な答えに終始し、組合側は、労働者を守る立場に立てと厳しく抗議しました。

札幌市議会で可決

北海道では5つめの採択

白タク・ライドシェア反対の意見書

  札幌市議会は12月13日、ライドシェア反対の意見書を採択し、賛成多数で可決されました。北海道の市・村議会では、6月26日の恵庭市議会に続き、5つめの採択です。
  北海道地連では、5月からライドシェア反対の意見書採択を求め、各会派の議員へ請願を行っていました。個人タクシー協会にも要請を出すよう働きかけたほか、タクシー協会も自民党などに要請を行い、可決に至りました。

※意見書全文はこちら

表01

各地の大会


組織拡大が最重点の課題

なら第39回定期大会

なら合同第39回定期大会=11月19日、なら合同労組事務所内会議室

なら合同第39回定期大会=11月19日、なら合同労組事務所内会議室

  【なら】なら合同労組は11月19日、第39回定期大会を開催しました。
  生駒市学童保育指導員支部では、自治労組合が実質解体しなら合同労組に5人が新たに加入したことや、タクシー関係では、奈良でも中国人がスマートフォンのアプリを使った白タク行為をしていることなどが報告されました。運動方針では、組織減少傾向にある状況を転換させ、組織拡大を最重点の課題と位置づけてたたかうことを確認しました。


組織の総力あげ白タク阻止

福岡第55回定期大会

福岡第55回定期大会=11月26日、福岡県労連大会議室

福岡第55回定期大会=11月26日、福岡県労連大会議室

  【福岡】福岡地連は11月26日、第55回定期大会を開催しました。
  中村委員長が「白タク合法化阻止の闘いは今年度においても組織の総力をあげてとりくもう」とあいさつしましました。
  その後日本共産党真島省三元衆議院議員の来賓あいさつ、はかた労組からの報告、本部庭和田副委員長の講演があり、ユーモアを交えた解かりやすい情勢の説明で理解を深める事ができました。
  委員長=中村朗▽副委員長=宜保幸弘、古賀文紀、伊藤良一▽書記長=内田大亮(いずれも再任)

あきらめず勝利へ

長期争議の紹介

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  自交総連の長期争議組合は昨年12月時点で4地方5組合でした。内容は不当解雇、未払い賃金請求です。
  かちとった成果では、7年半にわたりたたかってきた静岡・石川タクシー富士宮労組の会社解散・全員解雇事件において、解決金をかちとった和解がありました。他にも、大阪・なみはや交通労組や、東京・一越観光労組の和解がありました。
  自交総連では毎年、臨時徴収金から、解雇事件や重大事件に配分しています。

最後までやり抜く
大宰府タクシー労組 中村朗

中村委員長

  私は昨年5月末日付で会社に雇い止めを受けました(満61歳)。過去に運賃不正をした者は解雇にならなかったにもかかわらず、私は苦情で雇い止めとなりました。
  3年以上前から組合は累進歩合などの矛盾点を団体交渉で追及し、昨年春闘では矛盾点10項目に対する回答を要求しましたが、会社は答えないまま雇い止めを断行しました。
  昨年11月に不当労働行為として労働委員会に救済の申し立てを行い、第一回調査が1月15日に開催されます。
  会社はタクシー乗務員の給与体系はこんなもんだと公言しており、乗務員からの搾取は当たり前との認識です。ここは福岡市タクシー協会会長の会社でもあるので、この争議を最後まであきらめずやり抜いて勝利し、タクシー乗務員の労働改善をめざします。今後ともご指導とご支援をお願い致します。

改憲阻止、署名で世論の声を可視化

改憲に反対する市民=17年5月3日、大阪・扇町公園内
改憲に反対する市民=17年5月3日、大阪・扇町公園内

  自民党は今年の国会発議をめざして改憲の動きを強めています。17年12月に行われた「憲法改正推進本部」の全体会合では、9条改憲や「緊急事態条項」などの改憲4項目について論点がとりまとめられました。

  9条については、1項・2項を残し自衛隊の存在を明記する安倍首相の案と、2項を削除する石破大臣の案が併記されました。
  一見、前者の案は現行憲法と変化がない印象を受けます。しかし集団的自衛権を行使できるようにした現在の自衛隊の加憲は、日本を戦争できる国にし、9条を壊すことと同様です。このような改憲を小さく見せる印象操作で、自民党は国民を欺こうとしています。

ナチスのような権限

  緊急事態条項は、東日本大震災後の12年に公表した「自民党憲法改正草案」に盛り込まれたものです。
  首相が「緊急事態」を宣言するだけで、政府の権限集中や私権制限が認められます。基本的人権も最大限配慮するとしているだけで何の保証もありません。ナチスの独裁政治を生み出した「全権委任法」と同様の規定を憲法に盛り込もうとしているのです。

憲法署名の推進を

  安倍政権は18年の通常国会での改憲発議に向け、ますます暴走を強めています。
  世論調査では、「安倍政権下での改憲反対」が多数を占めています。安倍改憲を止めるためには、この声を可視化し、国民の世論が怖くて発議できない状況をつくる必要があります。
  憲法を守り、生かすため、決意を新たに安倍9条改憲NO! 3000万人署名の達成をめざし、4月20日までに10万筆、組合員一人10筆を目標に全力でとりくむことが重要です。


表03

われら自交総連 B自交総連の制度・政策闘争

労働者・国民へと広げて政策実現を

  自交総連は、制度・政策闘争として、時機に応じて総合的な政策を提起してきました。
  タクシー労働者の賃金を社会的水準へ改善するためには、職場で要求を掲げて資本とたたかう経済闘争が必要です。
  同時に、営業収入の増加など人並みの賃金を得るための経済的諸条件をつくりださなければなりません。その条件をつくるのが政策闘争です。

具体的政策内容

  具体的には、「安全で利用しやすいタクシーをめざす6項目提言」(93年)、「地方都市・郡部におけるタクシーのあり方についての提言」(96年)、「タクシー運転免許構想(案)」(99年)、「安心・安全、持続可能な公共交通を担うタクシーをめざして」(15年)などがあります(下)。
  その原点は「労働者の実感から出発した政策を幹部や学者が理論化すれば、それは大衆的な運動に発展する」ということです。

政策の実現を

  自交総連は、これらの政策を活用し、賃金・労働条件を破壊する最大の攻撃である規制緩和に対して徹底的にたたかい、タクシー活性化特措法の成立(09年)による規制緩和政策の実質的な修正という成果をかちとりました。
  しかし現在、タクシー労働者をとりまく情勢は、新たな岐路にさしかかっています。改正特措法(14年)の施行後も、減車や労働条件改善が十分に進んでいない状況下で、急速な高齢化などの危機的状況が深刻化、白タク合法化や新たな規制緩和などの動きがあります。こうした中で、課題である運転者の労働条件改善をはかり、タクシーの安心・安全を強化することが求められてます。
  提起した政策を労働者・国民の中に広げて理解を得、実現に全力をあげていく必要があります。


自交総連の政策(一部抜粋)

◎安全で利用しやすいタクシーをめざす6項目提言(93年)
  @タクシーの優先通行権の確立
  A同一地域・同一運賃を原則とする運賃認可制
  B福祉タクシーへの助成
  Cタクシー運転免許の新設、最低労働条件の法制化
  D規制緩和反対、減車の実効性強化、悪質事業者の処分強化
  E利用者、事業者、労働者の声を反映した委員会による政策決定

◎安心・安全、持続可能な公共交通を担うタクシーをめざして(15年)
(1)安心・安全、利便性確保、それを担保する運転者の労働条件確保
  @地域協議会を権威ある機関として発展させる
  A公共交通を担うタクシーの役割発揮
  B適正な原価、社会的水準の賃金を担保するに足る運賃の確立
  C「企業の社会的責任(CSR)」の確立
  D社会的水準の労働条件確立
(2)タクシー運転免許の実現にむけて
  さまざまな政策を実現していく上で、核となる戦略的な課題としてタクシー運転免許の実現をめざす。運転者の資格を国家資格とし、資質の向上をはからせる。

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