自交労働者No.936、2020年2月15日

地域公共交通の充実を求めた大運動を

賃上げ、ノースライド実現へ

第42回中央委員会

  自交総連は1月28、29の両日、東京・全労連会館で20地方80人が参加して第42回中央委員会をひらき、「道路運送法改悪阻止、地域公共交通の充実、賃上げ、職場権利の確立 20春闘」をスローガンとする春闘方針を決定しました。

団結がんばろうをする参加者=1月29日、東京・全労連会館

団結がんばろうをする参加者=1月29日、東京・全労連会館




城委員長あいさつ

城委員長
城委員長

  安倍政権は、今年の通常国会で道路運送法の改悪案を出そうとしています。この中にある自家用有償運送の拡大は、竹中平蔵氏もライドシェア解禁の突破口と述べており、安倍フレンズの楽天の三木谷氏、ソフトンバンクの孫氏が巨額出資するプラットフォーマーに道をあけるものであるのは明白です。桜を見る会やモリカケ問題と同じことが公共交通に関しても行なわれているのです。
  こうした政治を変えない限り、タクシーを中心とした公共交通の維持改善が図られないばかりか、業界の存続さえ危ぶまれます。早期に解散、総選挙へ追いこみ、法案提出、審議を阻止しなければなりません。
  日本の公共交通の優秀性を高め、利用者から支持されている「世界に誇れる日本のタクシー」のためにも地域公共交通の充実を求めた大運動や行動をやりとげましょう。
  さらに、この運動を組織の拡大強化につなげて、強い自交総連の再構築を実現しましょう。

第42回中央委員会参加者数



来賓あいさつ

スト権背景に闘う

野村事務局長
野村事務局長

 全労連・野村幸裕事務局長  今春闘では、職場での対話を重視し、ストライキ権を背景とした闘いで要求を大きく前進させよう。同時に組織拡大も重要で、成果があったから労組に入ってください、ではなく、成果をあげるために一緒にたたかおう、という呼びかけが必要だ。最重点計画を実施し、毎回増員の報告をくれる福岡地連の組織拡大には、全労連の多くの仲間が励まされている。



組合活動は楽しく

林弁護士
林弁護士

 顧問弁護団・林治弁護士  ライドシェア阻止のたたかいは、国民への安心・安全な輸送手段の提供になる。誇りをもって運動してほしい。同時に反対を訴えるだけでなく、交通過疎地にどういった交通手段を届けるかの提案も重要だ。また、組合活動は楽しく行ってほしい。伏し目がちに活動していたら、この組合に入ると大変だと思われてしまう。楽しくやることが組合員獲得につながる。



もっと巨大な自交総連に

運賃改定、白タク阻止、組織拡大などの発言

11地方13人が討論



総がかり行動を

(1)吉根さん
(1)吉根さん

 (1)北海道・吉根清三さん  北海道では、皆に職場の問題に向き合わせるために賃金闘争を重視している。今年は福岡のように全労連の総がかり行動に打って出て、歩合給未払い闘争、ノースライドをかちとる闘いで組織拡大につなげたい。



スライド賃下げNO

(2)松下さん
(2)松下さん

 (2)静岡・松下靖史さん  運賃改定で、会社側はノースライドどころか、春闘前にスライド賃下げしたいとしている。そうした申し入れをのまぬよう戦法を立て、学習会で組合員に勉強してもらい、春闘要求を出したい。



新組合の拡大に期待

(3)横田さん
(3)横田さん

 (3)高知・横田春吉さん  運賃改定は労働条件改善が目的だ。値上げ後に実態調査を行い確認したい。また1月末には、新組合を立ち上げる懇談をした。今後さらなる組織拡大につながる期待がある。



組合勝利和解に感謝

(4)那賀さん
(4)那賀さん

 (4)神奈川・那賀智恵美さん  皆さんのご支援により、今回組合完全勝利和解することができた。しかし、会社はまだ自分の非を認めようとしない。団体交渉でこれを認めさせることが今後の課題だ。



初乗り短縮の対策は

(5)土橋さん
(5)土橋さん

 (5)埼玉・土橋隆一さん  @すでに初乗り距離短縮している地域の実態感や対策、A自交総連として考える乗務員を増やす策、B自家用有償運送拡大についての交政審の方針への対策、以上3つについて質問したい。



参加者を増やしたい

(6)木俣さん
(6)木俣さん

 (6)東京・木俣透さん  南部ブロックの専門部組織である文化部では、お花見やボーリング大会などを開催している。しかし参加すれば楽しいイベントも、参加させるまでが大変だ。もっと参加者を増やす手段を知りたい。



全国ネットワークを

(7)秋山さん
(7)秋山さん

 (7)東京・秋山芳晴さん  東個労は新たな組織拡大として、全国ネットワークを構築したい。皆さんに個タク事業者とのコンタクトをお願いし、その方に共済を勧め、組合員になってもらえるよう行動したいと考えている。



新しく40人以上加入

(8)山村さん
(8)山村さん

 (8)福岡・山村英正さん  一昨年12月から全労連の支援を受けて組織拡大にとりくんだ。自主共済や1日おきの宣伝カーの走行、宣伝行動により新しく40人以上が加入した。これからも巨大な自交総連となるよう奮闘する。



権利かちとった成果

(9)中元さん
(9)中元さん

 (9)鹿児島・中元笙太さん  県内のタクシーは厳しい状態だが、鶴丸交通では他社からの運転者の流入が絶えず、車の稼働率は9割を超えている。これも労使協定を重ね、権利をかちとってきた成果だと思う。



利用者の安心守る

(10)川端さん
(10)川端さん

 (10)山口・川端輝彦さん  私の勤める会社の顧客は地元のお年寄りが中心で、依頼があれば悪天候でも車を走らせる。何の責任もないライドシェアには務まらない。何としても阻止し、利用者の安心・安全を守っていこう。



運賃改定は波乱万丈

(11)谷川さん
(11)谷川さん

 (11)長崎・谷川昌巳さん  運賃があがるが、長崎交通圏ではまだ増税前の料金で運営する会社もあるなど波乱万丈の様相だ。また、自教組合員への差別的事案も発生したが、弁護士に相談し、いい方向へ向かっている。



ノースライドめざす

(12)堀川さん
(12)堀川さん

 (12)北海道・堀川忠さん  北海道の運賃改定は初乗り短縮に舵を取った。さらに県内の稼働率は下がり、客が減っている。生き残りがかかった状況なのに経営者はやる気がない。とにかくノースライドめざしてがんばろう。



賃金未払いどうする

(13)池田さん
(13)池田さん

 (13)山形・池田智行さん  組合自主経営のハイヤーセンターでは、ここ2か月まともに賃金が支払われていない。売り上げをもっていっても会社の負債に充てられる。どうすれば賃金を払ってもらえるのか教えてほしい。




総括討論


再びのバラバラ運賃を危惧

(14)吉田さん
(14)吉田さん

 (14)大阪・吉田栄二さん  大阪のバラバラ運賃がようやく揃いつつある中、近畿運輸局が公定幅運賃を拡大したことで、下限や下限割れを選択する会社があり、またタクシー戦国時代に突入することになると危惧している。
  また、竹中平蔵氏がライドシェアへの突破口と公言する自家用有償輸送の拡大を阻止すべく、地連組合員への署名活動だけでなく、大阪労連にも協力を呼びかけている。



多様な視点から物事を図る

(15)冨中さん
(15)冨中さん

 (15)東北・冨中有さん 昨年の台風19号被害への全国からの義援金にお礼申し上げる。今回の被害により、市民の移動の権利を守るには公的な裏付けが必要と感じた。こんなときこそライドシェアと推進論者は語るが、あの状況で役に立つのか。
  以前、大崎市から「公共交通は福祉だ」との意見を聞いた。地域が必要としている交通とライドシェアは視点がちがう。都会が考える発展を地域に押し付けるのではなく、多様な視点から物事を図ることが必要だ。



院内集会、国会前行動を予定

(16)田村さん
(16)田村さん

 (16)東京・田村清隆さん  白タク・ライドシェア問題では、今国会で道運法改定案提出が狙われるなか、私たちは2月13日に国会内決起集会と議員要請行動を予定している。続く3・5中央行動では国会前決起行動に500人規模でとりくむ。秋の定期大会で「よくがんばったな」と言い合えるようにしたい。
  転職・退職する仲間へ自交総連組合のある会社を紹介する、道交法闘争など組織拡大にもとりくみ、ノースライドも獲得したい。



運賃改定は拡大のチャンス

各地の経験に学び、仲間増やす春闘を

執行部答弁

菊池書記長
菊池書記長

  答弁に立った菊池書記長は、まず質問に答え、@二種免緩和は反対でタクシー運転免許の制定を求めている、A運賃改定もあり、要求を前面に迫力のある運動を各地方でとりくんでほしい、B山形の自主経営の組合員脱退は残念だが、残った組合員の生活と権利を守っていく――としたうえで次の点を強調しました。
  白タク合法化阻止について、ライドシェアの危険性を指摘する意見、春闘の行動に決起する決意が各地から発言された。法改悪を阻止するために、世論に訴えてたたかおう。
  運賃改定でも発言が相次いだ。スライド賃下げは断固阻止し、増収にならないバラバラ運賃や身勝手な経営者への批判を強めていく。消費税増税で景気を悪化させる政治も変えて労働条件改善につなげよう。
  拡大では、福岡の総がかり行動に学んで増やしたいという発言もあった。運賃改定は拡大のチャンスでもある。各地の先進的な経験に学んで仲間を増やす春闘にしよう。

自家用有償運送の拡大問題を報告

時間外手当請求事件について討論

第42回弁護士交流会

第42回弁護士交流会=1月27日、東京・全労連会館

第42回弁護士交流会=1月27日、東京・全労連会館

  自交総連第42回弁護士交流会が1月27〜28日、東京・全労連会館で開催され、11地方から弁護士23人と城委員長が参加、中執が傍聴しました。
  交流会では、本部弁護団・田辺幸雄弁護士が『自家用有償旅客運送拡大の問題点』と題し、自家用有償旅客運送の意義や概要を解説、道運法「改正」の方向性や自交総連の態度などについて基調報告を行いました。
  特別報告では、@国際自動車・割増賃金を歩合給から差し引く未払い賃金請求事件の経過=東京・中村優介弁護士、Aハイタクユニオン(東交通)・65歳定年で再雇用拒否された不当解雇事件=北海道・亀田成春弁護士、B飛鳥草加・八潮労組組合結成を契機にした不当解雇事件=埼玉・石野正英委員長――の3つの報告があり、活発な意見が交わされました。
  その他の参加弁護士から、仙台・みちのく観光バスガイドの不当解雇事件、三重・東海交通労組分会の休憩時の時間外労働賃金請求事件も報告され、討論しました。

日経新聞社へ公開質問状を送付

  自交総連は1月8日、日本経済新聞社に対して「ライドシェア導入を推奨する日本経済新聞社に対する公開質問状」を送付しました。
  日経新聞は19年11月29日付の紙面で「高齢者の『足』には多様な選択肢が必要だ」とする社説を掲げ、「米ウーバーのような有償サービスとしての道を開く規制緩和を進めるべきだ」としました。
  危険なライドシェアの導入を推奨するのは、多くの読者を持ち、社会的な影響力のある新聞社として無責任な態度であり、見識が問われます。
  自交総連として看過できず、日経新聞社へ抗議とともに、ライドシェアの危険性の見識についての回答を求める公開質問状を送ったものです。
  1月末日までの期日内に日経新聞社からの回答はありませんでした。

※詳細はこちら

「前日の疲れ取れない」が74%

職場での不満、賃金安がトップに

20年春闘アンケート 非正規と正社員との格差など不満



図1

  自交総連の2020年春闘アンケート集計結果を紹介します。
  回収枚数は16地方4410枚でした。前年より1276枚減っています。組合員の要求を調べる大切なアンケートですので、来年は回収アップをめざしましょう。

60歳以上が半数超え

 平均年齢は58・5歳で前年より0・8歳増えました。年齢構成は、前年とほとんど変わらず60歳以上が半数で、40歳未満は5%しかいません。(図1〜2)

図2

「生活苦しい」続く

  生活実感では、「苦しい」の計が63%で前年より2ポイント減り、「まあまあ」と「ゆとりがある」が各1ポイント増えました。この傾向は数年前からつづいているもので、高齢化で教育費が掛からなくなったり、年金を受給している人が増えているためだと考えられます。収入は前年と「変わらない」「減った」を合わせると90%でした。(図3)
  賃上げ要求は平均2万4495円(前年2万5373円)でした。(図4)

図3


11時間確保されず

  仕事で運転中の経験を聞いたところ、タクシーでは、前日からの休息期間が、8時間未満15%(前年比5ポイント増)、8〜11時間未満22%(同3ポイント減)でした。合わせて37%の人が、十分な睡眠時間を確保できない11時間未満となっているのは問題です。
  こうした長時間労働が影響して、「前日の疲れが取れない」が74%、「交通事故を起こしそうになる」が69%、「安全確認がおろそかになる」が57%もいます。「居眠り運転をしたことがある」も28%になっています。
  バスはいっそう深刻で、休息期間8時間未満17%(前年比11ポイント増)、8〜11時間未満50%(同11ポイント増)となり、合わせて67%の人が11時間未満です。疲れが取れない90%、交通事故…70%、安全確認…67%で、居眠り運転…は30%でした。(図5)
  改善基準告示の改正で、休息期間11時間以上の確保が必要です。

図5−1


図5−2

要求の第一は白タク反対

  @賃金が安い、A退職金がない、B福利厚生が不十分、C労働時間長い、D休暇取れない…が上位です。(図6)
  定時制など非正規の労働者の場合は、正社員との格差があるという不満も多くなっています。
  @白タク合法化反対、A最賃引き上げ、B年金充実、C改憲反対、D労働法制改悪阻止…が上位となりました。(図7)

図6


図7

新加盟のなかま 

(848)福岡・自交総連JRバス労働組合
パワハラに危機感募らせ結成

  福岡県のJR九州バス株式会社で働く仲間が1月24日、自交総連JRバス労働組合(木原功二委員長、3人)を結成しました。
  木原委員長は、数年前から福岡地連に個人加盟していました。社内で悪化していく労働条件、ハラスメント問題に危機感を募らせ、職場の仲間に声をかけ、地連の助言で組合を結成しました。
  結成後、団交を申し入れ、会社は誠実に対応すると約束しました。