自交労働者No.981、2024年3月15日

白タク=ライドシェア解禁阻止

国交省よ 日本のタクシーを守れ

宣伝行動、車両請願、省庁交渉に奮闘

3・7中央行動

自交総連の3・7中央行動の様子
自交総連の3・7中央行動の様子
表

 自交総連は3月7日、ライドシェア解禁阻止、自交労働者の労働条件改善をめざし、必要な規制の維持・強化、労働者の賃上げを掲げて、3・7中央行動を実施しました。
 朝9時から霞が関駅前で宣伝行動を開始し、各地の代表がライドシェアの危険性を訴える街頭演説を行う中、歩行者にビラ入りティッシュを手渡しました。
 10時からは車両・個人請願行動を行いました。国土交通省前でタクシー車両の壁をつくり、主催者あいさつで庭和田裕之中央執行委員長は「国交省よ、世界有数の日本のタクシーを守れ!」と力強く訴え、続いて全労連の秋山正臣副議長、交運共闘の山崎正人副議長、日本共産党の宮本岳志衆議院議員が連帯あいさつをしました。 そして、コ永昌司副中央執行委員長が請願書を読み上げ、参加者一人ひとりが国交省の係官に請願書を手渡ししました。

「RSは労働者全体の問題」と訴える

壇上で決意表明をする庭和田委員長と仲間たち=3月7日、東京・日比谷野外音楽堂
壇上で決意表明をする庭和田委員長と仲間たち=3月7日、東京・日比谷野外音楽堂

 12時10分からは、日比谷野外音楽堂で全労連・国民春闘共闘が主催する「24春闘勝利をめざす3・7労働者総決起集会」に参加しました。
 集会では、自交総連の庭和田中央執行委員長が決意表明を行い、「皆さんに我々が今奮闘しているライドシェア解禁の問題を知っていただき、ぜひともストップをかけたいという思いで壇上にあがっています」と拳を振り上げました。
 続けて、「ライドシェアはタクシー労働者だけではなく、すべての労働者がギガワークに蹴りこまれてしまう、という日本の労働者全体の問題だと自交総連は考えています。世界に誇れる日本のタクシーを守るために、労働者を守るために、自交総連は皆さんと共にがんばっていく決意です!」と訴えると会場からは万雷の拍手が起こりました

国交省は新法をやるとは言ってない」

 13時30分からは、代表が国交省、全タク連と交渉を行いました。
 国交省交渉には、自交総連から16人が参加しました。庭和田中央執行委員長が国交省の係官へ要請書を手渡すと、要請書の請願項目への回答から交渉が始まり、その後は質疑応答が行われました。

 ▼国交省=タクシー事業者が運営主体となる「自家用車活用事業」については、利用者の安心・安全が確保されると認識している。運行管理や車両整備などに責任を負う主体を置かないものは認めるわけにいかないという我々の立場は変わらない。あくまでタクシー事業を補完するものだと考えている。
 ▼自交総連=その「自家用車活用事業」の理由としているタクシー不足だが、国交省へどれだけ直接苦情が入っているのか。何をもって不足としているのか。
 ▼国交省=タクシーがどれだけ不足しているかのデータは民間のアプリ事業者と協力し、アプリのマッチング率を客観的な指標とする。主観の話をしても意味がない。
 ▼自交総連=いち民間アプリのマッチング率だけでは充分な実態を反映しているとはとても言えない。流しや他のアプリを使用しているケースもある。現在、東京でも実車率は50%を超えておらず、1日の半分は空車となっている。ここから判断すればタクシーは足りているのではないかと思う。瞬間的な需要が高まった場合だけ捉えて「タクシー不足」とするのはおかしい。どこまでタクシー会社が対応しなければならないのか。
 ▼国交省=データとしては今はマッチング率しか取れない。また、イレギュラーに合わせてタクシー事業を展開させようとは思っていない。ただ、「自家用車活用事業」で需要ピークに対応できるようになるとは思う。
 ▼自交総連=道運法第78条の問題だが、営利が伴わない運送であるから理解を示していたが、今回の改革はその営利と非営利の棲み分けをつぶすものだ。これまでの経験から、タクシーと競合する準タクシーが生まれると我々は確信している。
 ▼国交省=そうならないようにギリギリのラインで「不足」に応えられるようにやっている。
 ▼自交総連=タクシー不足は利用者の利便の問題であり、流し・電話での迎車・アプリでのマッチングなど全体を見なければわからないのに、アプリのマッチング率だけで需給動向の判断をするのか。それはプラットフォームの利益の問題ではないのか。行政がいち民間アプリ業者のデータを頼り、それを根拠にして規制緩和をやろうとしているのか。
 ▼国交省 =「ライドシェアをやるべきだ」という議論が先にあり、「不足しているのだからやれ」と来たものに対して、不足を補うようにしたまでだ。
 ▼自交総連=アプリのマッチング率だけでなく、実車率もデータに入れて、タクシーが不足しているか否かを判断してほしい。そして、国交省はライドシェア新法は認めないという立場でいいのか確認したい。
 ▼国交省=我々は今年の6月までに新法についての結論は出ないと思っている。そもそも新法をやるなんて国交省は言っていない。

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全国各地で宣伝カーが走る

 自交総連は現在、毎月ライドシェア解禁阻止統一行動を行っています。多くの地連・地本が宣伝行動だけでなく、「ライドシェア反対!」のアナウンスを流しながら宣伝カーを毎日走らせています。


市民の応援が励みになる

街頭演説する浅井執行委員=2023年12月20日、京都・京都駅烏丸口前
街頭演説する浅井執行委員=2023年12月20日、京都・京都駅烏丸口前

 関西地連では、11月末から3月まで毎日、大阪府や京都府内でビラ配布やマイク宣伝、「ライドシェア解禁阻止」のCD流し宣伝を行っています。
 のべ200人ほどの参加者が配布した宣伝物は、市民用ビラ1万枚、ポケットティッシュ6000個、地連機関紙2000部以上にも及びます。
 毎日宣伝していると、日増しに反応が良くなっている手ごたえがあり、バス・タクシー労働者が宣伝カーに向かって手を振ってくれたり、市民が直接ビラを取りに来たり、宣伝の様子を写真や動画撮影するなど、応援してくれる人が多くなっているように感じ、励みになると参加者は語りました。(報告者・庭和田裕之地連書記長


継続運行で影響を与える

注目を集める福岡地連の宣伝カー
注目を集める福岡地連の宣伝カー

 福岡地連は、12月から一日3〜4時間、連日にわたってライドシェア反対の宣伝カーを走らせ、福岡市内で話題になっています。  宣伝カーは、福岡市役所周辺、商業施設の中心地である天神周辺やビジネス街の博多駅周辺をくまなく回っています。  市役所周辺で宣伝カーを回していることは、ライドシェア推進の高島市長も知るところとなっています。政府の規制改革会議では、高島市長自らが自交総連が繁華街でライドシェア反対の宣伝行動を行っていることを宣伝カーの画像付きで河野太郎デジタル大臣に報告しています。この模様はユーチューブで配信されています。  市内ではライドシェア反対運動の宣伝は市民の目を引いており、手を振る人や、クラクションを鳴らして手を振るタクシー運転者もいます。市民団体や他の労働組合からも「自交総連の宣伝カー、がんばっているね」と言われ、評判となっています。福岡市長は記者会見を開き、現状では日本版ライドシェアを行う状況にないことを表明し、国に対して、タクシー不足の法整備を求めていくとしています。宣伝カーを継続して運行することは、自治体や議会、世論に大きな影響を与えていると思います。(報告者・内田大亮地連書記長


川崎〜横浜で音源流し行う

 神奈川地本は1月19日、宣伝行動を実施しました。
 今回は本部の宣伝カーを活用し、神奈川県の川崎市内から横浜市内まで音源流しを行いながらライドシェアの危険性を通行人へ訴えました。次回は湘南地区〜小田原地区を走行する予定です。


RS推進意見ひとつもない

建交労から借りた宣伝カーでライドシェア反対に繰り出す東北の仲間
建交労から借りた宣伝カーでライドシェア反対に繰り出す東北の仲間

 東北地連は2月1日、仙台駅前で宣伝行動を実施しました。建交労の宣伝カーを借り、強風が吹き荒れる中、街宣とビラ配りでライドシェアの危険性を訴えました。
 タクシー労働者が熱心に話を聞いてくれたり、通行人に「ライドシェアとは何か」と数件問われるなど、これまでの行動と同様に関心の高さが感じられました。また、後日、組合員から電話があり、「寒いところ、本当にご苦労様でした。ライドシェアを阻止するためにがんばってください」という激例の声がありました。
 さらに、2月2日には、仙台市サンプラザにおいて仙台市タクシー準特定地域協議会が開催されました。当初、この会議は書面での開催予定でしたが、自交総連の東北の仲間が求めたことでリアル開催となり、ライドシェアについての討議が行われました。
 結果は、地元テレビ2局でも放映され、「仙台市にライドシェアはいらない(NHK)」、「仙台市のタクシーは供給過剰。ライドシェアに懸念(テレビ朝日)」といった内容で報じられました。
 会議で、自交総連は真っ先にライドシェアに反対の意見を上げましたが、消費者団体や、経営団体から同意する声が上がり、東北運輸局・伊藤自動車部長も「タクシーが不足している状況ではなく、自家用車による輸送は危険」と明確に述べました。関西大学の安部先生からは、「ライドシェアの導入は、タクシーの制度が始まって以来の大改革となり、慎重な議論が必要」との意見があり、ライドシェア推進の発言はひとつもありませんでした。この協議会には、宮城県や仙台市、労働局、警察など関係者がすべて出席していました。(報告者・石垣敦地連書記長


危険な実態伝えるよう要請

強風の日も雪の日も奮闘する北海道の仲間
強風の日も雪の日も奮闘する北海道の仲間

 北海道地連は2月20日から、札幌市内で宣伝カーでライドシエア解禁阻止宣伝を連日行っています。
 吹雪や大雪の日は、テープによる宣伝となりますが、天候が良ければタクシープールなどで訴えています。宣伝は、当面、中央行動がある3月7日まで行う予定です。
 北海道新聞の2月27日の一面にライドシエアの記事が出ていますが、解禁を前提として内容が書かれており、危険なライドシエアの実態に全く触れていないものです。これでは、道民はライドシエアについて全く理解できないのではないでしょうか。
 北海道新聞にライドシェアの危険な実態についても報道していただくよう取材要請を行いました。(報告者・吉根清三地連書記長


オフィス街で注目を集める

楽天本社前で歩行者にライドシェアの危険性を訴える=2月28日、東京・二子玉川駅前
楽天本社前で歩行者にライドシェアの危険性を訴える=2月28日、東京・二子玉川駅前

 東京地連は2月28日、午前11時半から楽天本社前に宣伝カーを配置して通行人へ向けて宣伝行動を展開し、18組合52人(報道等含む)が参加しました。
 第一声を発したコ永地連委員長は、「政府内で今急速に白タク解禁の話が持ち上がっている。公共交通でないライドシェアの解禁は利用者を危険へと導く。利用者の安心・安全を最優先に考えるべきだ」と怒りの声を上げ、続いて城本部書記長が「利用者の立場からもライドシェアはいらないという声を大きくしてほしい」と訴えました。
 各ブロックの代表も次々にライドシェアの危険性を伝えました。 デッキの上から聞き入る親子連れやカップルもおり、オフィス街でひときわ注目を集めました。


詳細→情報電子版23年35情報電子版24年bT

いずれの制度も反対

タクシー供給は回復している

新たな形態の「自家用車活用事業」

昨今の情勢

 新たな形態の「自家用車活用事業」について、昨年からさまざまな情報が錯綜し、混沌としています。
 一つ目は、東京や神奈川の事業者団体が4月から実施すると表明した「日本型ライドシェア」。二つ目は、2月29日に国交省が具体的な制度設計について公表した「自家用有償旅客運送制度の改革案」。そして、三つ目は、6月を目途に制度設計するとしている、タクシー事業者以外の事業者が自家用車・一般ドライバーによる旅客輸送に参入できるようにする「ライドシェア新法」です。

営収に大きな影響を与える

 一つ目と二つ目は、どちらもタクシー事業者が運営主体の「自家用車活用事業」ですが、制度の根拠となる法律が異なります。
 「日本型ライドシェア」は、道運法第78条3号に基づき、「自家用車活用事業」を行います。つまり、「タクシー不足」が、条文の【公共の福祉を確保するためにやむを得ない場合において、…運送の用に供するとき】に該当するという理屈です。あくまで一時的な位置づけの制度であり、恒常的なものではいとされています。
 一方で、二つ目の「自家用有償旅客運送制度の改革案」は、道運法第78条2号に基づき、これまで交通空白地で非営利でボランティア的に行われていた自家用有償旅客運送の運用を緩和・拡大する施策です。つまり、非営利と営利の棲み分けを覆すものです。
 どちらの制度も「準タクシー」を生み出すことに変わりがなく、競合によってタクシー労働者の営業収入に大きな影響が及びます。

安心・安全が崩壊する

 自交総連は、「日本型ライドシェア」が実施される東京や神奈川で制度の危険性を訴える宣伝行動を連日行っています。(下記に神奈川地本の冨松委員長による談話)
 いずれの形態であっても「自家用車活用事業」は安心・安全を崩壊させ、タクシー労働者の営収を悪化させるものと考えており、断固反対します。


一般ドライバーを使った自家用有償運送は不要

神奈川地本 冨松達也委員長

 昨年8月に菅前首相が長野での講演でタクシー不足からライドシェアを考える時期に来ていると表明してから、政界・財界はライドシェアの早期解禁を訴え始めた。一方国交省は、運行管理者のいない有償運送は認められないとして、道路運送法の78条3号の拡大解釈により一般ドライバーを使い、タクシー事業者による運行管理で有償運送を始めようとしている。いわゆる日本型ライドシェアである。
 しかし、根本の交通空白地などの輸送に関しては、まったく言及されず、都市部での運行を目指していることが間違いである。現在はアプリによるマッチング率が低い地域・時間帯で運行を考えているようだが、都市部の駅周辺では、アプリは配車除外エリアになっており、駅待ちしているタクシーはアプリのマッチング率には全く反映されない。東京や京浜交通圏では、タクシーの稼働率が以前に近づいてきており、新人教育でも神奈川タクシーセンターでは、2か月待ちの状態になっている。実車率も40%半ばなので供給不足とは言えない状態である。コロナ回復期の一時期は確かに稼働数も少なくなっていたが、現在は回復しているので、一般ドライバーを使った自家用有償運送などライドシェア類似行為、ライドシェアは不要である。

健康と両立する賃金体系を

改善基準告示の改定

4月から適用開始

改善基準告示改定ポイント

 自動車運転者の労働時間等の改善基準告示(改善基準告示)の改定が4月から適用されます。ハイタクとバス部門の改定ポイントを左表にまとめました。
 タクシーの日勤・バスでは、1日の休息期間(勤務と次の勤務の間の使用者の拘束を受けない期間)が「継続8時間」から「基本11時間で下限9時間」となります。運転者の過労死防止の観点から考えると充分な改定とは言えません。しかし、歩合給であるタクシーでは労働時間が営業収入の多寡に直結することもあり、健康問題と生活できる給与が両立できる賃金体系(保障給など)を使用者へ求める必要があります。

Q&Aをチェック

 職場の拘束時間等延長の労使協定によっては、4月から改定の適用開始とならないケースもあります。
 例えば、23年10月1日〜24年9月30日など4月をまたぐ有効期間の労使協定を締結している場合は、24年10月1日以降に改定が適用されることとなるため注意が必要です。
 こういった改善基準告示の改定にあたっての具体的な疑問や注意点をまとめたものが、厚労省のHPで公表されています。インターネットで、「改善基準告示(令和6年4月1日適用)に関するQ&A」と検索してください。

観光客に見守られて

自動車パレードを実施

神奈川交運共闘

神奈川交運共闘の仲間が集結=3月3日、神奈川・山下埠頭
神奈川交運共闘の仲間が集結=3月3日、神奈川・山下埠頭

 【神奈川】3月3日、横浜・山下埠頭に神奈川交運共闘の仲間が集結し、自動車パレードを実施しました。幸いにも好天・無風の絶好のパレード日和に恵まれました。
 冒頭、決起集会を実施し、首都圏交運共闘、神奈川労連からも激励に駆けつけて頂きました。
 宣伝カーを先頭に2隊列に分かれ、タクシー8台、建交労ダンプ2台、コンテナヘッド2台、一般車両数台が参加し、山下埠頭を出発し、みなとみらい地区をパレードしました。日曜日だった事もあり、観光客が見守ってくれました。
 反省点として、参加車両が少なく盛り上がりが今一でした。以前のように30台規模での実施が望ましいと感じました。

各地で開催 中央委員会・春闘討論集会

写真

 ◎ 東北中央委員会(左上写真)=2月20日、宮城・福室市民センター
 ◎ 東京春闘討論集会(左下写真)=2月6〜7日、東京・ニューウエルシティ湯河原
 ◎ 静岡春闘学習会(右上写真)=2月27日、静岡・地連事務所(ZOOM併用)
 ◎ 神奈川春闘学習会(右下写真)=3月1日、神奈川・保土ヶ谷公会堂