自交労働者No.1001、2025年11月15日

第48回定期大会

参加者数

 自交総連は10月14〜15日、東京・全労連会館で、「ライドシェア全面解禁阻止、労働条件改善、地域公共交通を守ろう」をスローガンに第48回定期大会をZOOM併用で開催しました。
 庭和田中央執行委員長と来賓4氏があいさつした後に、議案提案と、10地方16人による質疑・討論、城書記長による執行部答弁がおこなわれました。
 全発言がつつがなく終了すると、議案採決を実施。2025年度運動方針案などすべての議案を満場一致で決定しました。
 また、今大会で堀井一也書記次長が辞任し、壇上であいさつをおこないました。

団結ガンバロウ=10月14〜15日、東京・全労連大会
団結ガンバロウ=10月14〜15日、東京・全労連大会

委員長あいさつ

庭和田委員長
庭和田委員長

 この1年間全国の仲間が継続的に大きな力を果たしてくれたおかげで、我々が一番危惧していたライドシェア全面解禁の阻止に寄与できました。確信をもって来年度につなげていきたいと思います。
 タクシー業界に人が増えてきました。賃金が上がってきたからですが、すでに都市部と地方で二極化がはじまっています。
 東京をはじめ大阪では運送収入は上がっていますが、最低賃金を得られていなかったり、物価上昇に追いつかない地域が全国的にはあります。
 こうした状況を変えていくことが、今後の我々の運動に課せられています。自分たちの働く地域がよければ、運動が進んでいるというのは錯覚です。
 自交産業をみんなの力で強くして、この産業で働いてよかったと自信を持てるようにしなければなりません。
 また、政治問題と我々の運動は切っても切り離せません。今回タクシー協会自体は、奈良の高市早苗氏が勝てばライドシェアの話は立ち消えると考えていたと思います。ただ彼女の政治信念は、なかなか危ういものがあります。ここで皆さんに考えていただきたいのは、日本維新の会によるライドシェア新法です。どこが政権を担って、どこが中心的に動くことになるかが、我々の運動と大きく関わってきます。
 2025年度の運動が、どれだけ歩調を合わせて団結してたたかえるのか、時と場合によればナショナルセンターの違いも超えて、大同団結をする必要もあります。
 全国各地で運動を盛り上げるために、1年間しっかりと私自身も奮闘いたしますし、全国どこへでも来いといわれればすぐに行かせてもらいます。ともにがんばりましょう。


ご来賓一同

ご来賓一同

 大会に参加された来賓(順不同、敬称略)

全労連・黒澤幸一事務局長
交運共闘・山崎正人副議長
顧問弁護団・林治弁護士
顧問弁護団・小賀坂徹弁護士(ZOOM参加のため写真なし)
日本共産党・堀川あきこ衆議院議員



祝電・メッセージ

 大会に寄せられたメッセージ(順不同、敬称略、追加分含む)
【労働組合】
 映演労連▽検数労連▽全損保▽福祉保育労▽全印総連▽年金者組合▽PIWU▽国公労連▽全労連全国一般▽国交労組▽建交労▽全労連公務部会公務労組連絡会▽全農協労連
【民主団体他】
 労働総研▽こくみん共済coop▽安保廃棄中央実行委員会▽国救▽全国革新懇▽婦団連▽非核の政府▽内村物産株式会社

詳細

確信をもって運動を強化

政局、組織拡大について発言

質疑討論

全会一致で議案は採択された
全会一致で議案は採択された

発言者一同

 大会の発言者(番号は発言順)

【一般討論・13人】
1 関西地連・森長達也さん
2 北海道地連・石岡香さん
3 東京地連・中野健治さん
4 東北地連・池田智行さん
5 長崎地連・松永利秋さん
6 山口地連・守重正一さん
7 北海道地連・河野晃興さん
8 東京地連・月村隆浩さん
9 神奈川地本・山本聖一さん
10 高知地連・横田春吉さん
11 福岡地連・池田正俊さん
12 静岡地連・松田健一さん
13 東京地連・秋山芳晴さん

【総括討論・3人】
14 東北地連・東海林銀次さん
15 東京地連・坪倉秀樹さん
16 関西地連・山本雅弘さん

発言詳細

執行部答弁

城書記長
城書記長

 10地方16人の発言がありました。
 全般的に、ライドシェア全面解禁阻止に対して、大いに皆さん奮闘していただいていることが何度も述べられました。
 あわせて今の政局を含めた政治とタクシー業界についてや、組織拡大の発言をされていたと感じました。
 今、労働組合の存在意義が改めて問われています。皆さんの発言にあったように、我々労働組合の基本的なスタンスとして、階級闘争があります。ここに立ち返り運動をすすめていくことを確認したいと思います。
1 森長さん
1 森長さん
 関西の森長さん。京都は駅から街道まで渋滞でなかなかたどり着かず、帰りもタクシーも捕まらない状態です。国が解決させていくべき問題です。
2 石岡さん
2 石岡さん
 北海道の石岡さん。ライドシェア全面解禁阻止闘争で奮闘していただいて、そこから新たな組織の加盟をすすめることができたという報告がありました。
3 中野さん
3 中野さん
 東京の中野さんからは、道交法闘争について発言がありました。東京地連の全都道交法学習会は、HPなどで動画でみれるようになってますので、ぜひご覧ください。
4 池田さん
4 池田さん
 東北の池田さんからは、ライドシェアの統一行動で東北地方をキャラバンしたと報告がありました。東北地方では企業の倒産、廃業が続いていて、我々の雇用さえも守られきれない状況が生まれています。経営者だけに求めても解決しない問題ですので、各地で政策を国に求めていかなければなりません。
5 松永さん
5 松永さん
 長崎の松永さん。配車アプリの問題は、本来であれば加盟している各事業者がやタクシー協会などが対処すべきだと思います。
6 守重さん
6 守重さん
 山口の守重さんからは、中国地方で組織がひとつしかないとの発言がありました。地連だけでやりきれないのであれば、本部からも人員を派遣し、盛り返していただきたいと思っています。
7 河野さん
7 河野さん
 北海道の河野さんからは、政局の問題が出されました。平和あってこその我々の労働条件の追求です。またUDタクシーの問題については、11月の全タク連との交渉で、協会としてどう捉えていくか聞きたいと思います。ある程度の手当をつけるべきだと思います。
8 月村さん
8 月村さん
  東京の月村さんからは、飛鳥交通の問題が出されました。裁判闘争と一緒に、ぜひ大衆行動を基本の運動としてすすめていただきたいと思います。裁判だけでは結果が出るまでみえてこないので、続こうとしている企業を抑止するためにも宣伝が必要と感じました。
9 山本さん
9 山本さん
 神奈川の山本さん、福岡の池田さんから、労働組合が立ち上がったことで会社からの反発が強くなってさまざまなことをされていると報告がありました。とくに山本さんのところは、違法のデパートのような会社です。本当に奮闘して、がんばっていただいたなと思います。時間がかかるかもしれませんが、解決してほしいです。
10 横田さん
10 横田さん
11 池田さん
11 池田さん
 また権利の追求では、高知の横田さん、福岡の池田さんから裁判闘争をすすめてきたというお話がありました。羽田の都市型ハイヤーや高知のさくらハイヤーの問題で思ったことは、マスコミが取り上げると、経営者が動かざるを得ない状況が生まれることです。
 我々が思っているようには報道してくれないことも多いですが、いい方向に出た時はこういう結果につながるのかと思います。
12 松田さん
12 松田さん
13 秋山さん
13 秋山さん
 静岡の松田さん。静岡は今、一単一組合という形になっていますが、我々も力を貸して宣伝行動に打って出て、以前のような組織に回復できたらと思っています。若年層の組合活動の参加については、労働組合が弱体化すれば経営側の力が増し、権利が奪われていくと伝えましょう。
14 東海林さん
14 東海林さん
 そして総括討論では、東北の東海林さんから秋保交通のお話がありました。地域住民と秋保交通と自治体の三者が一体となって、協議を何度も何度も重ねるなかで信任を得て今に至っています。
 がんばって成果を出した一例をみて、地域公共交通をどう守っていくのか、ライドシェア全面解禁阻止行動をしながら、その一方で地方の足を守ることをあわわせてやっていく必要があります。
15 坪倉さん
15 坪倉さん
 東京の坪倉さんからは、ライドシェア阻止にこの間奮闘してきたということ、ノースライドを否定するような事業者がいくつかの単組で出てきているという問題が話されました。ぜひノースライドを死守していただきたいと思います。一度許せば、次から次に崩されていくのが、労働運動の歴史です。皆さんで力を合わせて奮闘してください。
16 山本さん
16 山本さん
 最後に関西の山本さん。万博を期して吉村知事がライドシェアを入れましたが、利用者が全然いないということで、的を外した状況になっています。  ライドシェアを使わなかったということは、利用者もやはり安全を求めていることだと思います。そのことに確信を持って運動をさらに強化していきましょう。


今後も運動にとりくむ

本部書記次長 堀井一也

堀井書記次長
堀井書記次長

 先日、私はある病気を発症していることが判明しました。早期発見ということもあり、主治医と相談しながら今後もやってまいります。この大会に、私よりも重い病気とたたかいながら参加されている方、あるいは参加できていない方、あるいは親の介護と向かい合いながら参加されている方がいらっしゃいます。  本日で辞任になりますが、私は立場は違えど自分の病気と向かい合いながら、今後も自交総連の運動にとりくみ、参加していく所存です。1年間、全国の皆さんにたくさんお世話になりました。ありがとうございました。

RS解禁論のゆくえに注目

日本維新の会が高市内閣と閣外協力

 10月21日、臨時国会で自民党の高市早苗総裁が総理大臣に選出されました。
 同日、高市内閣が発足し、新たな国土交通大臣に自民党の金子恭之議員、規制改革担当大臣に城内実議員が就任しました。
 また、首相補佐官として松島みどり議員や井上貴博議員といった自民党タク議連の役員らが配置されました。
 高市首相の周囲には、ライドシェア全面解禁推進派ではなく、反対派のメンバーが脇を固めている状態です。
 一方で、内閣から公明党が離脱し、代わりに日本維新の会が「閣外協力」の形で、自民党と連立を組みました。
(閣外協力=内閣に閣僚を出さずに、政策協定などを結び、国会での法案や予算案の採決などで協力する形態のこと)
 自民党と日本維新の会の連立政権合意書には、@経済財政関連施策、A人口政策および外国人政策、B統治機構改革、C政治改革の4つの政策項目がもりこまれました。
 それ以外の政策については、両党間で誠心誠意協議するとしています。
 ライドシェア全面解禁の政策協議は今のところ未定です。日本維新の会が今年4月に提出した『ライドシェア新法』についても、現状では協議がすすんでいません。
 さらに、城内規制改革担当相は、郵政民営化法案に当時反対しています。
 安易な規制改革路線には一定の距離を置いており、規制改革推進会議の場で、今後どのような論戦が展開されるかが注目です。
 自交総連は、いかなる形態のライドシェアであっても断固反対します。

「対話と学びあい」を実践

労働運動交流集会2025に参加

労働運動交流集会2025=10月11〜13日、東京・ビジョンセンター東京京橋
労働運動交流集会2025=10月11〜13日、東京・ビジョンセンター東京京橋

 全労連は10月11〜13日、ビジョンセンター東京京橋などで、労働運動交流集会2025(レイバー・ユニオン・カレッジ)をひらきました。
 この交流集会で参加者は、全国各地のすぐれた経験と実践に学び、対話を通じて運動を深めます。
 今回は、アジアやアメリカの労働者も参加するなど「対話と学びあい」の実践の場となりました。
 自交総連からは6人が参加しました。
 参加者の感想を紹介します(一部省略)。

真摯にとりくむ姿勢に感動

 10月11日と12日の2日間、参加させていただきました。
 11日は、「使ってみよう!労働委員会」、12日は、「職場に同性パートナーシップ制度をつくるための活動報告」、全体会「労働運動の未来は誰がつくるか」、「組織を編む」の4セッションでした。全てのセッションで共通するのは、私たちが一般的に考える解釈や概念ではなく、色々な角度でそれぞれの事象を捉えることが大切なことでした。
 そして何よりも全国からの参加者の方々が真摯にテーマにとりくむ姿勢に大いに感動しました。明日以降の組合活動にとりくんでいこうと思います。あまり具体的ではありませんが全体を通じての私の感想です。
(福永民人さん)

自分の組織にどう活かすか

 私は2日間で4つの分科会に参加しました。選択した4分科会にはグループディスカッションとワークショップがあり、東京開催ということから、東京地評加盟単産の仲間や自交総連関係弁護団である弁護士と対話する機会があり、驚きと同時に深く対話できたことが嬉しかったです。
 「『動員』ではない関係づくり」の分科会では、なぜ参加するのか、それによって今後気持ちがどう変わるのかなどをペアで対話し、お互いの価値観をしっかり追求していくなかで距離が縮まり、大事な関係性を構築していくことができるとする分科会でした。
 「参加型会議の作り方」の分科会では、「意見を聞いてもみんな黙っている」「聞くばかりの会議で疲れる」、そんな会議から脱却する方法を学習。3〜5分に区切りディスカッションすることで、初対面の方とでも気構えすることなく対話することができ、諸会議にもメリハリがつくことから、この分科会はあっという間でおなかいっぱいとなった分科会でした。
 「労働組合のなかの家父長制を考える」の分科会では、性差別や経歴などによる家父長制の有害が労働組合活動中にもありえることから、誰もが対等・平等に活動していくためにはなにが必要かをディスカッションしながら考えました。
 「課題をキャンペーンにする」の分科会では、キャンペーン戦略とするアクションプランをワークショップ内で決定し、その目的(ゴール)にむけて有効な戦術を考えていきました。
 4つの分科会で振り返りをした際、これらのいい部分をどうやって自分の組織に取り入れ、活かしていくのかが大変であり、少しずつ長い時間をかけて変化させていかなければいけないという共通の認識になりました。私自身がどう提案していこうか、頭を抱える課題でいっぱいです。
(竹内梢さん)

さまざまな価値観を学べた

 今回、産別組合の枠を超えて、多くの労働者や弁護士、研究者の声を聞くことができました。以降、参加した分科会「SNSの活用で組合員が増えるって本当ですか?」について、4つのテーマで行ったグループディスカッションで出た意見と、それに対しての感想を記述します。


@SNSの活用は組合活動に必要か。
 意見=SNSでの活動は、組合員の関係性が希薄になるのではないか。
 感想=SNSによって関係がなかった人とのつながりが増えることのメリットもある。
ASNSを活用するなら、誰を対象に、どんな内容を発信したいか。
 意見=組合員に対して情報伝達を効率化したり、意見交換の場として交流できるものを、組織拡大については閲覧者すべての人に対して組合の存在と有用性を知らしめるものを発信したい。
 感想=私は現在の20〜30代の労働者は、組合に入っていない、または入っているが、実際どんな活動をしているか知らない人が過半数を超えているのではないかと感じている。
BSNSを活用するうえで、どんな心配があるか。
 意見=炎上が怖い、イメージを損なう可能性がある。
 感想=運用ルールを設けることで、炎上はおよそ回避できるものである。
CSNSの活用で組合員は増えるのか。
 意見=適切に・継続的に活用することができれば増える。
 感想=新しいとりくみを試みて組合員が減るのは、それは内容自体が既存組合員から大いに反感を買ってしまう場合である。SNS活用は適切に継続的に行えばそれには該当せず、ビラ配りなどの限界を超えて、宣伝できる対象の数を増やせるツールであり、組合員を増やすことができると考える。

 総じて、私がタクシー会社に勤めた理由もそうですが、近年、比較的自由でプライベートな時間を確保できる点から、タクシー運転者は若い世代の働き手が増えてきています。若い世代は情報を収集するために、まずスマートフォンで検索をかけることが多いです。
 東京地連は、SNSとして、HP、Youtubeの動画を使用しています。組合のことをあまり知らない人も含めた組織拡大をはかるためには、「組合・東京地連とはなにか」「組合・東京地連に入ることのメリット」「相談窓口」をトップにおいたレイアウトのHPに変えたり、数秒で見ることができるXやショート動画の導入を試してみてもよいかと思いました。
 全体としては、地域・産業・世代などを超えた人が集まり、ほとんどの分科会でディスカッション形式を採用していたので、さまざまな角度からの意見・価値観を学べた点が非常によかったです。次回以降も継続してとりくむよさを感じられました。
(和氣康祐さん)

きになる交差点

貸切バスの運賃値上げ

労働条件の抜本的改善へつなげる

 第4回目は、貸切バスの運賃が値上げされたニュースについて紹介します。


 2025年9月26日、貸切バスの新しい運賃・料金を公示されました。
 貸切バスの運賃は、利用者保護と安全確保を目的に国土交通省が基準額を定めています。今回は、@全国的にバス運転者が不足していること、Aそれを解消するためには賃金アップが不可欠なこと、Bその原資を確保するために運賃改定をおこなう、としました。
 新運賃は順次適用され、11月1日以降は全国の貸切バス事業者で新料金体系がスタートしています。
 大型バスの1時間あたりの金額の一例で、北海道では5570円→6080円に、関東では6580円→7190円に、近畿では7390円→8040円に、沖縄では5230円→5710円となりました。
 バス運転者の2024年平均年収は、約461万円(厚労省調べ)でした。同年の全産業労働者の平均年収よりも約130万円低くなっています。
 低賃金と物価高騰によって、観光バス運転者は「これでは食べていけない」ととうとう耐え切れなくなってしまいました。結果、タクシー業界などの他業種へ人が逃げ、業界全体で営業がままならないほどの人手不足が起こっています。
 観光バスに関わる労働者(運転士・ガイド職)は、最大約50人の命を預かり、長時間労働や不規則な勤務などで心身に大きな負担をかけながら働いています。
 今回の運賃値上げは、一助に過ぎません。これを皮切りに、賃金・労働条件の抜本的な改善につなげていく必要があります。

城書記長コメント

 貸切バスの安全と運転者確保には、運転者が安定した生活ができる賃金・労働時間の改善が必要です。
 また運賃のみならず公的補助の支援も重要です。

各地の大会

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