自交労働者No.1002、2025年12月15日

国民本位の交通政策を

省庁へ個人請願、要請交渉

11・6中央行動

 交運共闘は11月6日、憲法改悪阻止、戦争法・共謀罪法廃止、国民本位の交通政策実現、規制緩和反対、交通運輸労働者の労働条件改善を求める中央行動を実施し、全体で約300人が参加しました。

交運共闘で中央行動を実施=11月6日、東京・国土交通省前
交運共闘で中央行動を実施=11月6日、東京・国土交通省前
全国から集めた請願書を提出=11月6日、東京・経済産業省前
全国から集めた請願書を提出=11月6日、東京・経済産業省前
参加人数

 交運共闘は、午前10時から国土交通省への個人請願行動を開始しました。
 城政利議長の開会あいさつにつづき、全労連の五十嵐健一常任幹事、日本共産党の堀川あきこ衆議院議員が連帯あいさつをおこないました。コ永昌司幹事が請願書を読み上げ、参加者一人ひとりが国交省の係官に請願書を手渡しました。
 自交総連の庭和田裕之中央執行委員長は決意表明で、「国交省がすすめている日本版・公共ライドシェアは白タクです。タクシーが足りないなら白タクでいいという施策は、国民の安心・安全は二の次でいいと言うに等しい」と問題提起。「タクシーには百年以上の歴史があります。行政・利用者・労働者が奮闘してきたことで世界に誇れる日本のタクシーになりました。それを潰していいのでしょうか。一度壊れたものは二度と元に戻りません」と訴えました。
 建交労の鈴木正明書記次長、検数労連の木正一中央書記長、海貨労協の三宅洋事務局長、国交労組の青柳雄大中央執行委員がつづき、シュプレヒコールで締めくくりました。
 その後、厚生労働省、経済産業省にも同様に請願提出をおこないました。


国交省・全タク連交渉

係官へ要請内容を訴える庭和田委員長(中央)=11月6日、東京・国土交通省内会議室
係官へ要請内容を訴える庭和田委員長(中央)=11月6日、東京・国土交通省内会議室

 自交総連は、午後1時から中央行動で提出した個人請願書の内容について、国交省、全タク連と要請交渉をおこないました。

 二種免許で地域の足を守る
 【国土交通省交渉】 自交総連は冒頭、「タクシー事業者以外の者を参入可能とするライドシェア導入は認めないという立場に変わりないか」と確認。
 そのうえで、地域公共交通を守るとりくみとして、交通空白地域のタクシー会社への直接支援や個人タクシーの拡大を要請。第2種免許をもったドライバーを増やして、地域の足を守っていく認識を国交省と共有しました。
 また、各地で深刻となっているクマ被害について、通学距離が長い子どもの送迎にタクシーを活用するなどの対策を提案。その地域のニーズに合った行政をおこなうように求めました。
 運賃値上げについては、改定後に賃下げなどがおこなわれている問題を議論しました。
 自交総連は、賃下げをした事業者を公表し、厳しく指導するよう要請。
 しかし国交省は、賃金決定は労使間の問題と突き放したうえで、改定実施の半年後に事業者団体に状況を公表させており、省として処遇改善を促していると回答しました。


 アプリ配車手数料の還元を
 【全タク連交渉】 全タク連はライドシェア問題の情勢について、「現内閣では、タクシー議連のメンバーが閣僚や首相補佐官に就任した」と安堵を滲ませ、ひきつづき協会として全面解禁に反対するとしました。
 また、タクシー業界において、売り上げに占めるアプリ配車の比重が増している事情について議論しました。
 自交総連は、手数料がすべてアプリ事業者のもうけとなる点を問題視し、一部を運転者へ還元するよう働きかけることを要請。全タク連は、「国交省も問題意識をもっている。現状ではタクシー事業者がアプリ事業者へ口を出せない。こちらもコスト増となり困っている」としました。

東個労が国を動かす

羽田空港白タク問題

「名義貸しハイヤー」の手口

 主要空港や観光地で、緑ナンバーによる悪質な白タク営業が横行しています。今秋から、ようやく行政はこれを本格的に取り締まろうと重い腰をあげました。国を動かしたのは、現場の運転者たちと、自交総連東京個人タクシー労働組合でした。

緑ナンバーの白タク

 訪日客の送迎をねらった白タクが、全国でまん延しています。
 コロナ後は、白ナンバー車だけでなく、緑ナンバーをつけた車が客引きをするようになりました。
 複数人で常駐し、タクシーの売り上げを横取りするだけでなく、違法駐車によって交通の妨げにもなっています。
 また、日本に不慣れな訪日客には、タクシーと白タクの区別がつきません。
 もし乗車時に、ぼったくりや行き先ちがいなどのトラブルが起きても、表面化しにくいのが実態です。
 こうした緑ナンバー車のほとんどが「名義貸しハイヤー」です。
=手口。上参照
 ハイヤー会社とドライバーとの間に雇用関係はなく、運行管理や勤務管理もおこなわれません。すべて違法な行為であり、グループ犯罪そのものです。
 都市型ハイヤー事業は、タクシー事業よりも参入基準が緩いために、白タク犯罪に利用されています。

現場の声に応える

議員らとともに現場を視察=3月6日、東京・羽田空港国際線到着タクシー乗り場
議員らとともに現場を視察=3月6日、東京・羽田空港国際線到着タクシー乗り場

 東個労の秋山芳晴委員長に相談が入ったのは、2024年の12月のことでした。
 「羽田空港で起きている問題をどうにかできないか」。現場で営業する組合員と非組合員は、切実に訴えました。「客引き行為と違法駐車をドライバーに直接注意したら囲まれて恫喝された、怖くてしかたがない」。
 秋山委員長はこれに応え、東京地連と協力して行動をはじめました。2025年3月には、東個労の法規対策部の働きかけで、日本共産党の山添拓・吉良よし子両参議院議員、本部の庭和田委員長とともに、羽田空港を視察しました。
 現場の実態は、ひどいものでした。組合員は、バリアフリー車両駐車スペースを完全にふさいだ数両のワゴン車を示しながら、「だれも駐車違反の切符を切らない。空港警察に訴えたが、『上から言われていてできない』と言われた」と説明。
 その後、秋山委員長と東京地連の林悦夫書記長は、国交省・空港警察へ見解を質しましたが、4月の第1回交渉では具体的な回答がなく終わりました。
 潮目が変わったのは8月。テレビ朝日の情報番組から取材の申し入れがあり、羽田空港の白タク問題が大々的に報じられました。
 すると、9月の山添・吉良両議員が同席した第2回の交渉では、ひとつ返事で国交省・警察庁から「対処します」と、解決策が出されました。
 秋山委員長は、「これを野放しにすれば、ますます規律が乱れ、タクシー業界の崩壊につながる。違法行為は厳罰に処すべきだ」として、白タクの撲滅を重ねて求めました。

取り締まり強化へ

 国交省は10月20日、各運輸局へ事務連絡を出しました。
 ハイヤー事業者への新規許可の申請審査を厳格化するという内容です。具体的には、審査のときに、代表者または運行管理者に対面でヒアリングし、違法行為をしないよう注意喚起をおこないます。
 国交省は、この先も違法・不適切な営業の実態把握をすすめ、羽田空港に限らず白タクの取り締まりを強化していくとしています。

各地のなかまが奮闘

ライドシェア全面解禁阻止統一行動

 自交総連は、ライドシェア全面解禁阻止へ統一行動をおこなっています。北海道、東北、東京、関西、福岡地連の9〜11月のとりくみを紹介します。

8の自治体へRS反対要請

 北海道地連は11月、街頭宣伝と要請行動をおこないました。
 11日には、札幌駅南口で、札幌地区労連主催の「一の日行動」に参加し、ライドシェア解禁反対を市民へ訴えました。
 さらに21日と27日には、札幌市・千歳市・恵庭市・江別市・北広島市・石狩市・当別町・新篠津村の8自治体へ要請をしました。
 要請書とともにライドシェアQ&Aも手渡し、ライドシェア全面解禁反対を国へ働きかけるよう求めました。

東北運輸局へ要請おこなう

要請書を手渡す池田委員長(左)=11月11日、宮城・東北運輸局
要請書を手渡す池田委員長(左)=11月11日、宮城・東北運輸局

 東北地連は11月11日、東北運輸局への要請行動を実施。地連から9人が参加し、係官と要請項目について交渉をおこないました。
 ライドシェア問題については、日本維新の会が与党に加わったことにより、先行きが心配されること、必要な意見の表明をおこなっていくことを確認。
 運賃値上げについては、「現状の査定のままでは低すぎて東北地方からタクシー会社がなくなってしまう」として、改善をつよく求めました。東北運輸局は、「当局だけでは判断できない」と回答。地連は、地域の実情に見合った査定が必要と重ねて要請しました。

紀尾井町で抗議の街頭宣伝

LINEヤフー本社前で抗議の声をあげる東京のなかま=11月26日、東京・紀尾井町
LINEヤフー本社前で抗議の声をあげる東京のなかま=11月26日、東京・紀尾井町

 東京地連は11月26日、LINEヤフー社のある紀尾井町で街頭宣伝をおこない、70人が参加しました。
 この行動は、川邊健太郎氏(LINEヤフー社会長)が10月3日に、「ライドシェアの抜本的見直し」を求めた意見書を政府会議に提出したことに抗議するものです。
 コ永委員長が「川邊氏に意見書の撤回を求める」と口火を切り、各弁士がマイクを握りライドシェア反対をつぎつぎに訴えました。
 宣伝の途中には、他団体に所属するドライバーやビラを受け取った通行人から「なぜここで宣伝しているのか」といった声があがりました。

大阪地連の宣伝カーが活躍

20回目のライドシェア全面解禁阻止の共闘=11月28日、京都・四条烏丸
20回目のライドシェア全面解禁阻止の共闘=11月28日、京都・四条烏丸

 関西・京都地連はひきつづき、「ライドシェア全面解禁阻止」の一点共闘で集まる「共同闘争」行動を実施しました。
 10月には京都駅烏丸口と京都市役所前で、11月には京都駅烏丸口と四条烏丸で街頭宣伝がとりくまれました。行動には、関西・大阪地連の宣伝カーが使われました。
 11月28日、京都駅前の宣伝では、自交総連から関西・京都地連の松田委員長が発言し、庭和田書記長が進行役を務めました。
 京都個人タクシー団体協議会の田中会長は、「ライドシェア断固全面解禁反対を訴えるとともに、都市型ハイヤーの規制強化も含めて、健全な都市交通のあり方を求めていきたい」と訴えました。

RS反対音源流し手を19回

 福岡地連は9月中に福岡市内で19回、宣伝カーを運行。ライドシェア全面解禁反対を求める音源を流し、市民に訴えました。
 音源のボリュームが大きいためか、よく振り返られました。タクシーがクラクションを鳴らしてくれたり、手を振ってくれるなどの反応もありました。
 他の組合から、「自交総連はよく回っているね」と言われるなど手ごたえを感じます。

戦争か9条いかす平和か 戦後80年に岐路に立つ

交運共闘 全国学習会・職場視察

クレーンシュミレーター
クレーンシュミレーター

 交運共闘は、11月16日・17日の2日間で全国学習会と港湾技能研修センターの視察をおこないました。
 国内外の交通事情を視察することにより、そこでの知見をもとに交通運輸産業で働く労働者の生活向上と権利の確立や社会的地位の向上、国民の交通利便性の向上、交通安全の確保など今後の政策・要求づくりに役立てる目的で恒例的に実施しています。
 今回は、高市政権となって、「安保3文書」の改定作業や非核三原則の見直し作業が開始される情勢から、非核「神戸方式」を学び、核兵器廃絶、平和を守る運動を広げる学習会と港湾技能研修センター視察をおこないました。

日米間密約存在
神戸方式の入港手続き図 梶本事務局長作成資料

 「非核神戸方式を全国に広め、今こそ核廃絶を」と題し、原水爆禁止兵庫県協議会の梶本修史事務局長を講師に学習会を開催しました。
 非核三原則「核兵器を持たず、作らず、持ちこませず」は国是であるはずが、74年に日米間での「核兵器持込み密約」の存在が明らかになりました。
 神戸市民の闘いと革新市政の誕生により、核兵器を搭載した艦艇の神戸港入港を拒否して、入港の際には、核の不搭載を示す非核証明書の提出を条件とさせました。

戦争か平和か

 99年以降米国は、「神戸方式」の破棄を迫り、与党市議や県議、労働組合を戸別訪問して「艦船入港に反対すると反米的ととられる」と工作を重ね、国は、外交・防衛は国の専管事項としました。現在市政も変わり国に従う態度を取ったことで、今年3月には52年ぶりに、米掃海艇ウォーリアが神戸港に入港し、全国から抗議が集中した。
 梶本氏は、改憲と戦争への道か、9条をいかす平和の道か、戦後80年に岐路に立っているとまとめました。

港湾施設視察

 2日目は、港湾技能研修センターを視察しました。
 全国の港湾労働者を対象に、必要な免許・資格や知識、技能を身につける教育訓練施設です。
 講習には、フォークリフト、クレーン運転技能講習と実技教習、大型自動車・大型特殊自動車・牽引自動車など港湾で必要な免許の取得教習があります。
 港湾荷役では、コンテナをクレーンで船からトラックへ積み替え作業があります。
 参加者はガントリークレーンシュミレーターの体験学習を受けることができましたが、持ち上げる際には、フックと穴が完全一致しないと上げられず、非常に難度の高い技術であることを実感しました。ガントリークレーン作業者が港湾の花形といわれる所以です。(執筆=城政利書記長)


新加盟のなかま

(877)北海道・恊和交通労組

労働条件改善のために

 北海道札幌市の恊和交通株式会社で働くタクシー労働者は9月22日、恊和交通労働組合(土橋光繁委員長、15人)を結成しました。
 9月初旬、地連へ、札幌交通労組を通じて恊和交通の乗務員から連絡が入り、会社となれ合う親睦会に我慢が限界に達したため、労働条件を改善するために労働組合をつくりたいと相談。打ち合わせを重ねた結果、11月1日、北海道地連への加盟に至りました。

きになる交差点

外国人ドライバー制度

2026年度から本格化 新たな仲間を組合に

 第5回目のきになるテーマは、外国人ドライバー制度です。まもなく入国が本格化し、皆さんの職場にも外国籍の新人が入社することがあるかもしれません。国や業界からは、新たな仕事の担い手として期待を集めていますが、はたして……。


 2024年3月、特定技能制度の対象に、自動車運送業(バス、タクシー、トラック)が追加されました。
 政府は、2029年度までに上限2万4500人の外国人ドライバーを受け入れ、人手不足に対応するとしています。
(=以下、「外国人ドライバー制度」)
 国交省が示したプロセスによると、外国人ドライバー制度では、それぞれの国で特定技能評価試験・日本語試験に合格→企業に採用→来日となります。
 その後に、バス・タクシー業で最大1年、トラック業で最大6か月の特定活動期間(外免切替・日本語研修・第2種免許取得などをおこなう)を経て、ドライバー乗務をはじめます。
 最大の問題点は、実務を教えられるのが、基本的に特定活動期間に限られることです。
 日本の交通安全の水準は世界トップクラスに高いうえに、道路事情が複雑怪奇で、違反ルールが厳しく定められています。また、バス・タクシー業の場合は、運転の他に接客業務も覚える必要があります。
 外国人ドライバーが、新任運転者研修だけで、日本水準の運転技術を身につけられるか、懸念されます。
 しかも、外国人ドライバー制度でやってくるのは、ベトナム、インドネシア、フィリピンなどのアジアの国々がほとんど。この中には、運転教育をほとんど受けずに運転免許が得られる国もあります。
 2026年度から外国人ドライバー制度が本格化するとされています。道路上の治安が保たれるか、注視しなければなりません。

庭和田委員長コメント

 新たな制度がはじまり文化や生活習慣の違う外国人労働者が東京などの都市部から自交産業に流入してきます。職場で働き始めたときに様々なことで戸惑うことが少なくないと考えられ、新たな仲間に迎えるためにも今から労働組合として、手助けできる準備をして置く必要があります。

各地の大会

大阪第80回大会=11月25日、大阪・国労大阪会館
大阪第80回大会=11月25日、大阪・国労大阪会館