不当な賃下げはねかえす
行政の職務怠慢許さない
今春闘では、運賃改定を背景としたタクシー事業者による賃下げ合理化が、例年以上に続出しています。しかし今回、そうした潮流に真っ向から歯止めをかける司法の判断が下されました。
全国的に影響 画期的な判決
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タクシーの運賃改定の際、自交総連は、改定の趣旨(=上)にもとづき、ノースライドを前提に、会社と労使交渉します。
しかし、ここ数年、それに反して、不当な賃下げ合理化をする動きが、業界全体で広がっていました。
そのきっかけとなったのは、2023年4月に飛鳥交通グループが強行したスライド賃下げでした。
当該労組は、約3年間の闘争を経て7月29日、東京地裁での完全勝訴をおさめました。
(この成果を全国に=下記事)
原告弁護団は、判決日早々に声明を公表しました。
判決について、運賃改定を契機とするタクシー乗務員の歩合給の引き下げにあたっても、労働契約法上(=右下)の「高度の必要性」が要求され、変更を無効とした点で画期的としています。
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総じて、判決は、全国的な影響が大きく、先例として価値が高いものとしました。
東京地連も、翌30日に声明を出しており、「飛鳥交通グループ各社の未払い賃金の完全な支払いと就業規則の撤回がされるまで、手を緩めることなくたたかう」としています。
国交省と運輸局の責任追及
今回の闘いは、行政が本来果たすべき責任を放棄したことに始まりました。
スライド賃下げの件で、当該労組と東京地連は、提案後すぐに、関東運輸局へ告発状を提出していました。
しかし、関東運輸局は実効性を伴う指導には至りませんでした。さらに国交省へ問い質しても、「労使間の問題」と及び腰の姿勢をつづけられました。
結果、会社が就業規則の変更を断行したことで、裁判へ突入することとなりました。
是非が明らかであるにもかかわらず、判断を司直の手に委ねることになったのは、国交省および関東運輸局の職務怠慢です。
自交総連は今後も、全国の不当な賃下げ合理化や労働者負担の根絶にむけた闘いを展開するとともに、こうした行政の責任をきびしく追及していきます。
| この成果を全国に |
東京・飛鳥交通労組、飛鳥交通第六労組、個人加盟労組
完全勝訴 組合側の主張認める
飛鳥交通の新賃金体系変更は無効
7月29日、東京地連加盟の3労組らと飛鳥交通グループが、運賃改定時の就業規則変更について争っていた裁判の判決が、東京地裁で出されました。
裁判所は、組合側の主張を全面的に認め、会社に対して合計5000万円あまりの未払い賃金を支払うよう命じました。
2022年11月、タクシーの運賃改定に乗じて、飛鳥交通グループは、新賃金体系を就業規則の変更として提案しました。
その内容は、@営収に0.9585を乗じて給与算定、A歩合給計算に120万円の上限を設定、といった計算上の操作による実質的な賃下げでした。
組合は変更の根拠となる経営上のデータ開示を求めましたが、会社は誠実に応じず、労使交渉は膠着。
しかし2023年4月、会社は労働者代表と協定を結び、組合を無視して新賃金体系を強行しました。
3組合は同年8月、不利益変更の是正を求めて東京地裁へ提訴。のちに非加盟労組も合流し、原告団は133人となりました。
この事件の争点は、運賃改定に伴う就業規則の変更が、労働契約法第10条(=上)と照らして有効かどうかにあります。
会社側は、「実際の給与額はあがっているのだから、不利益変更ではない。また燃料費高騰などで営業損失があり、経営上の必要性もある」と主張。
組合側は、「歩合給で契約の根幹となるのは給与額ではなく計算方法なのだから、不利益変更だ。さらに、変更の必要性を示す根拠は不足している」と訴えました。
判決では、新賃金体系は不利益変更としたうえで、「変更の必要性を基礎づける具体的事情は証明がなく、相当性も認められない」と認定。
裁判所は、組合に対する新賃金体系の変更は、労働契約法第10条に反して無効としました。そして、会社は変更前との差額賃金および遅延損害金を、組合へ支払う義務を負うと結論づけました。
分かれるノースライドの可否
賃下げ合理化提案つづく
2026年春闘
自交総連2026年春闘は7月末日時点で、92組合が要求を提出、うち79組合が回答を引き出し(回答率=86%)、56組合が妥結・了解しています(解決率=61%)。→2026年春闘の回答速報
政策闘争と要求獲得の観点から、2026年春闘についてとりまとめます。
RS阻止闘争継続して宣伝
政策闘争では、ひきつづき、ライドシェア阻止のために、各地連・地本による毎月統一行動がおこなわれました。
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| 要請書を手渡す石垣バス部会会長(左)=5月13日、東京・衆議院第2議員会館面談室 |
東北・関東ブロックでは近隣県へのキャラバンが実施され、本部の宣伝カーが活用されました。
また、運賃改定問題についても、各地でタクシー乗務員と対話し、状況の聞きとりをおこないました。
東北・関東・関西のどの地域でも、改定に乗じた賃下げ合理化を提案する会社が多数確認されました。
今後も現場の声を集めて、大がかりな宣伝行動などで、悪質な賃下げ合理化の実態を利用者に知らせる必要があります。
さらに7月29日には、長期争議組合として奮闘していた東京地連加盟の3労組が、運賃改定時の就業規則変更について争っていた裁判で全面勝訴しています(地裁判決)。
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| 報告集会の様子=7月29日、東京・東京地方裁判所内の司法記者クラブ |
バス部会は5月13日に、国交省と交渉を実施。各地方の参加者が路線・貸切バスで起きている安全問題や労働実態を訴え、改善を求めました。
個人タクシー部会は6月2日に、財務省と交渉を実施。個人タクシーにかかわるインボイス制度の廃止を要請しました。
そして本部は6月29日、国交省・警察庁とのレクチャーに参加しました。
成田空港で営業する違法な客引きや暴力行為、営業妨害などの深刻な実態を報告。取締り・巡回体制の強化など、実効性ある対策を求めました。
長期化の傾向 粘り強く交渉
要求獲得では、運賃改定を背景に、ノースライドの可否が大きく分かれることになりました。
東京地連の吉祥寺交通、日本交通、高砂自動車、東都自動車、八洲交通、省東自動車、神奈川地本の三和支部、福岡地連の永楽交通、吉野ケ里観光、庄内観光では、ノースライドを確認し、妥結・了解しました。
一方で、賃下げ合理化提案も相次ぎ、交渉が長期化しています。
賃下げの内容はさまざまで、歩率ダウン、分離給なくし完全歩合制へ変更、分離給3%ダウン、月例給1%ダウン、増収分の4割を事業者の取り分にしたい、賃率1%減と一時金6.5%スライド、迎車料金を賃金に反映させないなどです。
厳しい情勢ですが、今後も、粘り強く労使交渉をすすめることが肝心です。「赤字で倒産しかねないから」といわれても、決算書等の経理資料の公開を要求し、必ず事実関係を確認しましょう。
その他には、基本給アップ、交通費手当アップ、解決金支給などがありました。
法定速度30`へ引き下げ
生活道路での運転に一層注意
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9月1日から、いわゆる生活道路の法定速度が、全国一律で30`へ引き下げられます。
(注=ここでの「生活道路」は、主に地域住民の日常生活に利用される、中央線や車両通行帯がない比較的狭い道路を指します)
これまでのルールでは、高速自動車国道以外の道路では、速度規制標識がない限り、法定速度は60`でした。
改定後は、道路の区分に応じて最高速度が上下します。
道交法第11条では、ある4区分の一般道路は60`、それ以外の一般道路(生活道路)は30`と定めています。
(改定道交法=左)
また、特定の速度規制標識による指定がある道路は、その表示が優先されます
安全な速度で走行しよう
生活道路では、歩道と車道の区別が不明確なケースが多く見られます。
そのため、自動車同士のすれ違い時や、歩行者・自転車との交錯時に事故が起きやすくなっています。
決められた速度の範囲内であっても、道路や交通の状況、天候や視界などをよく考えて、安全な速度で走行することが重要です。
7月には、危険運転について、飲酒量・高速度などの具体的な数値基準が導入されています。安全運転を一層心がけましょう。
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名刺が相談呼びこむ
千葉のタクシー乗務員さんから解雇相談が入りました。その会社はオール歩合で割増賃金は払わない、交通事故の修理代や示談金を給料から天引きするなど労働基準法違反のオンパレードでした。
その乗務員さんは、77歳の高齢ですが、年金はかけた年数が少なかったため、それだけでは暮らしていけず、条件の悪い会社で辛抱していました。
けっきょく家賃が払えなくなり居住を失い、昼はガードマン、夜はタクシーに乗っていました。
ある日、乗車中に路上で仮眠をとっていると、近所の住民がタクシーをバンバンたたき、慌てて外に出たとたん突き飛ばされ、頭を数針縫うほどのケガをして救急車で運ばれました。
それでも食べていくために翌日に職場復帰し、3日後にバスと接触事故を起こし、会社に解雇されました。
現在、生活保護を受けながら暮らしていますが、困窮から抜け出せず、タクシー乗り場で自交総連の名刺をもらった方の紹介で組合とつながりました。
その方と私で会社に乗り込んで解雇撤回、労災に切り替え治療を継続。会社は未払い賃金も話し合いで支払うことを約束し、他の乗務員も未払い賃金で困っていることから、今後は、相談された乗務員さんを中心に団体交渉で話し合うことも約束しました。
改めて分会の形を確立させて正式な団体交渉に入るため、現在準備中です。
(報告=内田大亮組織拡大専従オルグ)
地域住民の主体的な行動が実を結ぶ
大椎台団地線の復活
第13回のきになるテーマは、『大椎台団地線の復活』です。
おととしの時間外労働の上限規制・勤務間インターバルの導入により、バス業界では、深刻な運転者不足が発生。多くの自治体でバス路線が大幅減便・廃線を余儀なくされています。
そうした中、地域住民の働きかけが公共交通を復活させた事例を紹介します。
千葉市緑区のJR土気駅と大椎台団地を結ぶ、およそ2`b区間のバス路線である大椎台団地線が廃止となったのは、2024年3月末のことでした。
他の周辺路線はなく、代替の移動手段として用意されたのは、事前予約制のデマンドタクシーです。週2日の運行では、朝夕の通勤・通学の需要に対応しきれず、路線バスの復活を望む声があがっていました。
大椎台自治会の住民らはその熱望を束ねて関係各所へ要請をつづけました。それだけでなく、全戸850世帯を対象とした需要調査アンケートを4度も実施。「大幅に値上げしても乗りたい」といった利用意向や希望時間帯などを細かく具体的に数値化し、その結果をもとに、事業者・自治体と協議を重ねました。
そうした住民の主体的な行動が実を結び、2026年7月16日、大椎台団地線は復活を遂げました。
現在は、平日に朝夜それぞれ3便を運行中。運賃は片道320円とやや割高ですが、これは路線を持続可能なものとするために、協議で決定した金額です。
大椎台自治会は、「高齢者の買い物や通院などには日中の便も必要。公共交通を守るために今後もとりくむ」としています。
高城書記長コメント
安易なライドシェア導入ではなく住民・事業者・自治体の協力で路線を復活。持続可能な地域交通には、新たな財源確保と公共交通支援の強化が不可欠です。







